アメリカ行き小包

アメリカの友人に小包を送った話。

ある雑誌をたまたま見かけ、友人の顔が思い浮かんだので1冊送ることにした。
本当はこっそり送って驚かせたいところだが、なにしろこのご時世、確実に届く手段を知らなければ送りようがない。
趣向はあきらめて現実主義をとり、友人に直接、どんな方法があるか聞いてみた。

アメリカ行きのEMSや国際小包は、4月からずっと止まっている。
DHLFedExは受け付けてくれるけど、あまりに高額で先方に気を使わせてしまいそう。

すると「日本のアマゾンとヤマト運輸なら届いているよ」と。
あいにくアマゾンでは品切れだったのでその手は使えないけど、おぉ、国際宅急便があったね。忘れてた。

さっそく集荷の予約をしようと電話をかけてみたが、これがなかなかつながらない。
私の方で電話できる時間が限られているせいもあるけど、つながらないうちに2日が過ぎてしまった。

それで、もう一度、他に手段がないか調べてみた。
原点回帰で、国際郵便

問い合わせてみると、「雑誌だけなら『印刷物』というカテゴリーになるので、送れます」との回答。
おぉぉ、やった!
集荷の電話がつながらなかったのは、こっちへのお導きね。
意気揚々と、猛暑の中、いざ郵便局へ。

ところが窓口で「申し訳ないんですけど…」となってしまった。
確かに雑誌だけならOKなんだけど、雑誌の付録についているクリアファイルが引っかかって戻される可能性が高い、と。
「唯一、船便だったら受け付けられます」。
うぬぬー。
この郵便局はいつもお世話になっていて、局員のみなさんが優秀なのは知っている。
ここでゴネても意味がないので、あっさり退散。

で、改めてヤマトに電話。
この日もつながらず、3日めが過ぎた。

翌日は朝イチで電話に集中。
何度かのお話し中を経て、やっとつながった。

ダメモトで「書類パック」について尋ねてみたが、やっぱり雑誌は対象外だそうだ。
はい、了解。
箱詰めで、まずは「伝票の手配を」というところまで進んだ。

置き配全盛の昨今、伝票はポストへ入れてもらうことになっていたが、届けに来たお兄さんが「説明したい」と言うので、玄関先の対面で応対する。
英語の書き方とか、国際宅急便は破れたりテープが剥がれたりすることがあるとか、すごく丁寧に教えてくれてありがたいのだけど、なんとなく、あんまり頻繁にある業務じゃないんだろうなという印象。

この雑誌は、他の食料品などと一緒に通販で買ったものだったので、届いたときのパッケージをそのまま再利用する。
食料品を出した後の広い空間に、本当は日本のお菓子でも入れてあげたいけど、今は食品類は一切送れない。
緩衝材を詰め、念のための補強に凹型のダンボールをひっくり返してかぶせ、梱包はあっという間にできあがり。
伝票を書き終え、いよいよ出荷の準備が整った。

翌日も朝イチを狙って電話。
午後、昨日と同じお兄さんが集荷にやってきた。
伝票をチェックして、端末を操作しながら「うへっ、こんな高いの?まぁ海外だからそうなのか」と独り言をいうお兄さんを黙って見ていた。

で、提示された金額を見てビックリ。
想定の4倍。
え、なんで??

宅急便は箱の大きさで料金が決まるんだってさ(参照)。
私が用意した箱は縦横高さの計が100cm。
なるほどー。

親切なお兄さんは、「もし小さい箱があれば僕が梱包し直しましょうか?」とまで言ってくれたけど、すぐに用意できる箱はないし、なにより忙しいお兄さんの時間をとるのは申し訳ない。
もちろん空振りも十分申し訳ないのだけど、また日を改めることにした。
がっかり。
小さい箱ってどこで売ってんだろ。

ここまで、私が電話しては「つながらないー」と言ったり、郵便局へ行ったのに持ち帰ってきたり、玄関先に呼び出されたりする姿を見ていた母が「何してんの?」と声をかけてきた。
事情を話すと、「そういうことなら、ぴったりサイズの箱を作りましょう」と。

なぬ。
やっぱり手先が器用で、手芸や工作が得意な人の発想は違う。
スーパー不器用で脳が3D非対応の私には、何を言っているのかすらわからない。

そこから、母は私が補強用に入れた凹型のダンボールを取り出し、定規とペンで線を引いてカッターで切り、雑誌を固定している台紙も一回り小さくして、縦横高さが55cmになる箱を作り上げた。
さらに雑誌の角を保護するためのカバーを設計・試作。
厚紙に写して切り、折りこむ、という作業を4回繰り返して、雑誌の四隅にカポッとはめた。

魔法かよ。

「久しぶりに、ふだん使わない頭を使って楽しかったー」とうれしそうな母に、私の小学生時代を思い出す。
夏休みの終わりはいつもこうだったよね。
「もっと早く言いなさい!」と怒りながら、課題の工作をやってくれた。
どこをどうしたらこんなふうに出来上がるのか、さっぱりわからないまま、私は新学期の学校へ持っていったものだった。

こうしてテイラーメイドで頑丈な箱が出来上がり、伝票を書き直して、ようやく本当に準備完了。
翌日、無事に出荷できたときには、母娘でハイタッチ。
その後は順調に海を渡り、友人のもとへ届いた。

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