白雨

はじめての道で、はじめての光景。

湖沿いの新しい家に引越したばかりの友人から、夕食のお誘い。
建築中に一度連れて行ってもらったことはあるが、うちから一人で行くのは初めて。
猛暑の中、1時間強のドライブ。
新築祝いと、日焼け対策、飲み物を用意して、出発。

まずはひたすら西へ。
暑いし超まぶしいけど、太陽に正面から向かっていってんだから、しょうがない。

サングラスもシェードも要らなくなってきた頃、右折して、今度はひたすら北へ。
信号のない、まっすぐな田舎道。
いくつかのアップダウンを越え、かわいらしいビレッジを抜けると、ぱっかーんと一面の緑。
牧場の牛や馬、家、小屋、工場などが、遠くに小さく見える。
向かう先の空が、黒い雲で覆われている。

やがて、フロントガラスに大粒の雨が。
あっという間に叩きつける音の速度が増してきたので、次に曲がる道を見逃さないよう、ワイパーを最速にする。

雨が弱まって明るくなってきたおかげで、目的の道をちゃんと捕まえられた。
「夕立も私のドライブも、もう終わりだな」と、少しほっとして左折。
すると、いきなり森の中。
そこから、信じられないような光景がはじまった。

道の右半分は、暗くて、乾いている。
大きな木が高いところで道側に乗り出して、まるで軒のようになっているのだ。
そして左半分は、たっぷりの陽の光の中、落ちてくる雨がキラキラ輝いている。
右車線の運転席にいる私は、ちょうどその境目をなぞるように進む。
なんという神々しさ。
通り過ぎるのがもったいないくらい。
その場では半ばあっけにとられていたけど、今こうして書きながら思い出すと、涙が出るよ。

もっともっと言葉を蓄えたいと思う。
私には他に表現方法がないのだから。
私の持ち合わせでは足りない物事との出会いが、この先もたくさんあるのだから。

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