日本から出戻ってきた缶開け機のこと。
元ルームメイトにもらってずっと使っていた缶切り(手動)の調子が悪くなった。
右手の回すとこがめちゃめちゃ固くて、だいたい半周ぐらいで私の力が尽きてしまう。
それがきっかけで、むかし買った電動缶開け機が日本の実家で眠っていることを思い出した。
2001年、アメリカに初めて住んだとき、誰かの家で電動缶開け機を初めて見た。
その発想にも、開ける間の動きにも、開いたときの気持ちよさにも感動し、自分でもほしくなってすぐ買いに行った。
缶を開けるのが楽しくてしょうがなかった。
で、翌年の夏、日本へ持って帰った。
「日本にこんなのない!きっとみんな感激する!」と、まぁなんなら使命感みたいなものを覚えていたのだろう。
若かったねぇ。
そして日本の実家で、意気揚々とアメリカ製缶開け機のデモンストレーションを。
…しようと思ってスーパーに缶詰を買いに行くと、あろうことか、日本の缶詰にはほぼもれなくプルタブが付いている。
「こんなのない!」は確かにそうなんだけど、それは日本の缶詰が缶開け機なしで開くからだということにようやく気づいた。
とほほ。
以来、缶開け機は実家のキッチンの収納場所の奥にしまったまま、出番がなかった。
私は存在ごと、すっかり忘れていた。
そうだ、今こそあいつをアメリカへ連れ戻すときじゃないか。
というわけで缶開け機は16年ぶりに故郷アメリカの土を踏むことになった。
箱を開けてみると、充電式で、なかなかの図体をしている。
ほー、こんな感じだったっけ。
家電における16年って、ありえないぐらい昔のことだろう。
イマドキの電動缶開け機とは見た目からしてずいぶん違う。
本体のハンドルを持ち、親指でグリップを押すと缶切りがはじまり、一周するときれいに切れた蓋がマグネットにくっついてパカっと取れる。
あ、そうそう、こんな感じだった。
これを初めて見て大興奮&大感動していた私を、「…いや、そんなに?ま、うれしそうでなにより」という感じで見守っていた当時のアメリカ人たちのことを想う。
そりゃあれば便利だけど、そんなに大盛り上がりするほどのもんじゃないよね。
ところで私は缶切り/缶開け機のどこを、缶詰のどこに当てるといいのかが毎回わからない。
これは靴ひも(参照)や扇風機(参照)に代表される、3D非対応脳ゆえのあるある。
「んー、どこがどうなんだっけ?」と適当に角度を変えているうちに、偶然カチッとはまって事なきを得る。
で、そのときはいちおう「あ、そっかそっか。ここがここに当たるのね」とわかった気になるんだけど、缶を開けるのは多くて1週間に1度、それも1缶しか開けないから、次に開けるときにはまた忘れていて、またわかんない。
とほほ。
ま、とりあえず長い間使われずにいた道具が日の目を見たってことで、よしとしよう。