イベントQ&A #4: 言語、教育

日本時間 5/20におこなったイベントのおまけ的Q&Aの、まとめと解説 その4。

イベント告知をはじめて間もなく、「使用言語は英語ですか?」というお問い合わせがあった。
なるほど。
たしかに告知のどこにも書いていない。
日本人が集まるイベントで、日本語で告知しているのだから、そもそも「使用言語」を明示しようという発想がなかった。
やっぱり違う目には違うものが見える。
それをきっかけに、告知には「使用言語は日本語です。」という一文を追加した。

それ以降も、「使用言語は英語ですか?」というお問い合わせは止まらなかった。
お誘いした人からも、「英語しゃべれないから…」「英語で、ですよね?」「え、日本語なんですか!」などと言われつづける。

あまりにも多いので、もうすっかり自信がなくなり、ゲストたちに聞いてみた。
「『このイベント、英語でやるのかな?』と思った方います?」
ゲストたちからは「まったく思ってませんでした 笑」との返事が続々。
ほ。やっぱりそうよねぇ。

日常的に英語を使っている人にとって、「相手が日本人なら日本語」というのは当たり前。
一方、英語に触れる機会が少ない人の中には、「スキあらば英語を話したい」という人もいる。
「英語ペラペラの人たちは、日本人だけで集まった場合でも英語をしゃべってるんだろうなぁ」と思われてるのかな。
んなわけないじゃんね。
 
ゲストたちには、「このイベント、実は自分たちの見られ方を知る機会になるのかも」と伝えた。
実際、イベント終了後のアンケートには、「海外で活躍されている方が、とても身近に感じられた」「人と全く違う人生を送っている人の考え方を少し知ることが出来た」などという感想もあった。
外国って、遠いんだな。

イベントQ&A #4: 言語、教育

シリーズ最終回のテーマは、英語を含む「言語」と、英語教育を含む「教育」。
6問中3問 (1, 5, 6)が、「日本や世界の近い将来」についてだが、こういう予測が概ね共通しているというのはおもしろいね。
たとえば1で、「機械翻訳の台頭によって、英語を学習する必要はなくなるでしょう」と予測する人がいてもよかったのにさ。
あるいは、「もっと早く機械翻訳ができてくれれば私は英語をやらずに済んだのに」とか、「機械翻訳が私の英語力を飛び越して、私は職を失うことになるのではないかと毎日ビクビクしています」とか。

ちなみに、現時点で自動翻訳の技術は「日本人の平均的な語学力は完全に超えているレベルに達して」いるんだそうだ(参照)。
ということは、「機械翻訳の英語って、どうです?」と聞いたとき、相手によっては「実はもう自分で英語を書く・話すのはやめました。機械翻訳の方が楽だし、速いですから」なんて答えが返ってくることもあるのか。
あいにく、うちのゲストはどう見ても“平均的”じゃないからね。

“平均”がどこにあるのかはよくわかんないけど、それにしても、技術の進歩はありがたいねぇ。
入学特典として配る「ほんやくコンニャク」を仕入れる手間が省けたよ。(参照

3は、いわゆる4技能についての質問。
たとえば大学受験における「長文読解」的なリーディング、ビジネス文書や論文のリーディング、あるいは小説や哲学書のリーディングのように、同じ“技能”でもコンテクストによって指す内容が大きく異なる中、質問者、回答者、Q&Aを見る人たちが、それぞれ自分の想像できる範囲で自由に発想を飛ばしている感じがおもしろい。
また、質問者は「英語の」を前提にしている感が強いけど、回答の中には「言語全般」に視点をシフトさせる動きがあるのもおもしろい。
このてんでバラバラな仕上がりから何がどう伝わるのかはわからないけど、「日本人は、英語の読み書きはできる…じゃないの?」と驚いてもらえたりするのかしらね。

おしまい。

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