日本時間 5/20におこなったイベントのおまけ的Q&Aの、まとめと解説 その3。
イベント開始前、ゲストたちは「控室」に集まっていた。
私は最初だけちらっと顔を出して「大広間」へ移ったのだが、その後も手違いで「控室」の音声がずっと聞こえていた。
テクサポートのYさんにこのトラブルの解消法を尋ねているうちに、ゲストたちが自己紹介やおしゃべりを始める。
開始直前で焦る気持ちもありつつ、ゲスト同士が「XXさん、お久しぶりですー」なんて言っていたり、「え、みなさんお知り合いなんですか?」「いや、僕は誰とも」「emiさんがハブになってるんですね」と言っていたりするのが聞こえ、再会や出会いの場になっていることをうれしく思った。
そうなんだよね。
ポッドキャストのリスナーやブログ読者の中には、この企画のために「私が行き当たりばったりの“飛び込み営業”をかけてゲストを引っ張ってきてる」と思っている人もいるんだけどさ。
基本的には私が実際に会ったことのある人にお願いして協力していただいている。
日頃からさんざんおしゃべりしている人もいるし、ちゃんとお話しするのはインタビューが初めてという場合もあるけれど、いずれにしても生い立ちにあたるところから現在の心境まで、あれだけじっくり聞いて、その後もちょこちょこやりとりするので、記事を公開するころにはすっかり親しくなっちゃっている。
つまり、このゲストたちは私の友人で、日本人で英語ができて、私の無鉄砲で前例のない企画にも快く応じてくれる、稀有な人たちなのである。
という前置きをした理由は、このQ&A #3、シリーズ全4回のうち、ゲストの回答がいちばんよく似通っている気がしたから。
あらゆる面でバラバラなゲストたちが、「人生観や人生における選択」という切り口で比較的似ているというのは興味深く、「ま、だからこそこの企画に協力してくださってるんだよな」と思わされる。
全体的には、依存型/対話型の質問(参照)が多く、回答者は答えにくかっただろうと思う。
回答者の多くは、英語ネイティブ、非ネイティブを含むさまざまな言語文化背景の人々からの質問を受けた経験があるので、こういうぽわんとした質問を「日本人らしい」と思ったかもしれない。
実際、日本人同士のQ&Aだと、こんなのはあるあるなんだよね。
日本式プレゼンテーションや授業(参照)の場合と同様、日本人の聞き手は我慢強く、おとなしい。
どんなにわかりにくい発話でも、やさしく受け止め、受け手が不足を補ってでも応え、発話者(プレゼンター、講師、質問者など)に再考をうながすチャンスを与えない。
会話のキャッチボール(参照)でいうなら、ものすごい変化球を、体を伸ばしてひねって、笑顔で捕りまくる名キャッチャー。
質問者の方は、日本語以外でのQ&A経験がなかったり浅かったりで、こんな感じの質問にも回答者が難なく答えている場面ばかりを見ているから、「この前提で大丈夫かな?」と疑ったり、「自分だったらどう答えるかな?」と考える機会がないのだろうと思う。
“変化球”タイプの質問は回答者の解釈を多分に許容するので、回答者がその負担を拒否すれば答えてもらえないわけだし、気前よく答えてもらえるとしても自分の聞きたかったことと合わない可能性が高くなる。
まずは日本語でもいいから、「自分が何を聞きたいのかよく考える」「タイプの違う、いろんな人に質問してみる」「自分がした質問のうち、自分のほしかった情報が得られた、または自分の質問をきっかけに何か展開があった経験を振り返る」「質問を受ける」など、やってみるといいよね。
あと、「考えさせる質問」と「答えようがない質問」は別だからね。
「コーチングがいいらしい」と、安直に真似しようとして失敗して、「やっぱりコーチングはダメだ」とか言う上司や先生がいるような話を聞いたけど、たぶん「質問する」って素人さんが考えるより難しいのだよ。
つづく。