日本時間 5/20におこなったイベントのおまけ的Q&Aの、まとめと解説 その1。
イベントの参加申込フォームには、「ゲストやホスト、他の参加者に聞いてみたいこと」という項目を設けておいた。
参加者が当日受け身になってしまわないように、そして、事前にゲストが少しでも参加者像をイメージできるようにするのが狙い。
参加者が書いてくれた質問を、集まり次第、小分けにしてゲストに回答してもらった。
質問が届いた順にゲストに転送することもできそうだったけど、それだと脈絡なくバラバラだったり重複したりして回答者側の負担になるので、参加者からの質問をある程度ためておき、内容にそって大まかに分類して、同じような質問を束ねたり補足や凝縮を施して、再度フォームに落とし込んでゲストに配布することにした。
面倒くさいけど、とにかく回答してほしいんだからしょうがない。
ゲストにとって快適な環境をつくるのは、ホストの務め。
最終的には申し込みを締め切った後で質問を再編集してフォームを作り直し、参加者にも回答してもらえるようにした。
で、イベント終了後に集まったすべての回答をまとめて、項目ごとにウェブページをつくってアップした。
これが思ったよりずっと、発狂しそうなぐらい面倒くさかった。
でも、しょうがない。
学習者にとって有益な情報を手に取りやすいようにしれっと置いておくのは、教育者の務め。
正直、質問を編集している段階では、「これ、聞いてどうすんの?」と思うものもあったのだけど、回答がついてみると「なるほどなぁ」と“聞いた甲斐”が見出されることもあり、「やってみないとわからないことって、あるよな」と思わされた。
ゲストに全問をぶつけるのは多すぎるかなーとも思ったし、実際途中で回答をやめてしまったゲストもいたけど、勝手に取捨選択しなくてよかった。
ちなみにゲストのほとんどが回答することを楽しんでくれ、参加者像もかなりつかめたようだったので、ウォーミングアップとしての機能はじゅうぶんに果たしていたと思う。
というわけでできあがったQ&A集、計4つ。
ここではその1つずつについて、解説のような感想のようなものを書いていこうと思う。
今回はその第1弾。
KECのFacebookページなどを見てイベントに申し込むような人たちが対象なので当然ではあるが、「どうやったら英語が上達するか」に関する質問が多かった。
まず気づいたことは、やっぱり私の回答って、外れ値になってることが多いんだなってこと。
ま、ゲストたちの話を聞いて、自分のこれまでの道のりが特殊であることは重々承知しているので驚くことではないが、この回答に関してはそもそも異端であることに加えて、英語教育に携わるプロとしてしょうがない面もあると思う。
ゲストの中に英語教育関係者はいないので、彼らには「自分の経験のみに基づいて、感じたままに、大胆に答える」という自由がある。
一方で私は質問者の意図や現在の学習状況、回答が与える影響を推測せずにはいられない。
そういう違いが回答にも出ているなと思う。
発音についての質問が2問あるが(3&4)、回答者の立場は①「Standard English主義」と②「World Englishes主義」にはっきりと分かれている。
どちらの立場でも、単語レベルでは発音しにくい/できないと自覚している場合があり、人によってはそのことを「悩む」場合もある。
同じように悩んでいるとしても、①SE主義が「“正しく”発音できないものは直すべき」と考えるのに対し、②WE主義は「それはそれとして、問題なし」と考えている(ま、そりゃそうよね)。
発音しにくい/できないことを、気にしていない人もいる。
今回の回答に限っては②WE主義が多数で、その主張の内容も具体的かつ①SE主義に対して批判的だが、これはインタビューゲストの多くが30代以下の若い世代で、アメリカや大陸ヨーロッパでのコミュニケーション経験者であることによるものだろう。
要は英語教育を受けた場所と年代、混じりけの多い環境に身をおいた経験があるかないかの違いですかね。
日本で、たとえば英語の先生を対象に調査したら、①SE主義が多そうな気がする。
気がするだけですけどね。
調査したい人は、対象者の年齢や学習時期、場所の情報を忘れずに変数に盛り込んで、適切なサンプル数でやっとくれ。
その2につづく。