いまさらながら、「Tsum Tsum」の読みについて。
日本に「ツムツム」というゲームがあるらしいことはなんとなく知っていた。
アメリカのおもちゃ売り場で、おなじみのキャラクターの丸っこい版が売られているのも知っていた。
でも、あれが「ツムツム」だということはわかっていなかった。
たまたま機内で、その丸っこいのたちが次々に登場するアニメを見ている人が前方にいた。
丸っこいのが縦に連なっていく様子から、「は!これはもしや“積む”ではないか」「ということは、これはもしや“ツムツム”なのではないか」とひらめいた。
で、「『ひらめいた』なんて思っているのは私だけで、きっと世の中的には『えぇぇ、知らなかったの?』なんだろうな」と思った。
私にはそういうことがよくある。
そしてアニメが終わり、タイトルが現れた。
「TSUM TSUM」。
こうして私の「この丸っこいのの名前はツムツムである仮説」は肯定された。
しかし、同時に新たな疑問が。
「Tsum Tsum」、なんて読む?
日本語の「ツ」は、日本語学習において厄介な音である。
特に英語話者にとって、語頭に「ツ」の音を出すのは難しい。
アメリカで日本語を教えていた頃、学習者に「ツ」を教えるために、「”cats”の最後の音」を使っていたのを思い出す。
その音を何度か発音させてから、そのまま語頭に持ってこさせて「つき」「つくえ」などを練習するのだが、その時点でクラスには再現できる学生とできない学生がいた。
英語話者たちは「Tsum Tsum」をどう発音しているのだろうか。
本場日本の公式ページ(参照)に、「Tsum Tsum」の公式な発音の情報はなさそう。
ストア(参照)にいたってはそもそも英語など外国語に詳しくなさそうな気配。
日本には「日本語の発音を説明する」という概念があんまりないんだよな。
アメリカの公式ページにも、読み方は書いていない。(参照)
音声情報を求めてYouTubeの公式チャンネルを覗いても、日本のCMのように「ツムツム!」と叫んでいるものがすぐ見つかったりはしない。(参照)
ふむ。
これは一般の人が自由に発音するのに任せて放置しているパターンかな。
Comic-con(展示会)のレポートを見てみたら、レポーターは「zoom zoom(ズムズム)」と発音しているが(参照)、担当者らしい男性は「soom soom(スムスム)」と発音している。(参照)
おもちゃやゲームの紹介動画などでも、概ね「soom soom(スムスム)」と読んでいる。(参照1 参照2)
「tsum tsum pronunciation」で検索すると、多くの人が惑っている様子が。(参照)
日本語母語話者に聞きに行ってる人もいる。(参照)
英語話者的にはどうやら「soom soom(スムスム)」が“公式”っぽい模様。(参照)
「zoom zoom(ズムズム)」と呼んでいる人も一定数いそう。
この2つは、ゲームなどの商品名から入った人の読み方だろう。
英語話者が何の予備知識もなく「Tsum Tsum」という文字列を見たら、「sum sum(サムサム)」と読むのがいちばん普通な気がする。
“ネイティブ発音”に慌てて修正する傾向にある昨今の日本のカタカナ語事情からすると、「ツムツム」はやがて「スムスム」に取って代わられるかな?
それともこれを機に英語話者の間で日本語の「ツ」が広まって、発音練習は「ツムツムの“ツ”」で通用するようになるのかな?
違う事情で「ツ」に苦戦する韓国語や中国語母語話者の多い日本の日本語教室ではどうしているのかな?