アメリカの難しいところについて。
お盆や初詣でさえも感覚としては宗教的にニュートラルかもしれないぐらいなので、ほとんどの日本人にとってクリスマスは宗教と無関係の国民的行事。
日本語の「メリークリスマス」は、チキンやケーキを食べたりデートをしたりする日を楽しんでね、という程度の意味だろう。
アメリカには”Merry Christmas vs. Happy Holidays”という、根強く、根深く、埒の開きそうにない議論がある(参照1 参照2 参照3)。
特に今年は、次期大統領の発言の影響で「Merry Christmasってどうなの?」というのが話題になっている。(参照1 参照2 参照3)
要するにpolitical correctness な、かなりアメリカ色の濃い話なのである。
一方で、「ごちゃごちゃうるさいよ」という向きもある。
ある人は、こう言っていた。
I’ll say “Merry Christmas” to whomever I wish and “Happy Holidays” to whomever I wish. If that offends you then I have only one conclusion: you are easily offended.
(相手によって、”Merry Christmas”と言ったり、”Happy Holidays”と言ったりさせてもらうよ。それで気分を害するという人がいたら、そりゃ気分を害しやすい人なんだろ。)
「そんなに言うならこれでどうだ」とばかりに、あらゆる宗教的な季節の挨拶を羅列するというアイディアもある(参照)。
それで思い出して、「そういえば Chrismakwanzakkah(参照)ってのをどっかに書いた気がする」と検索していたら、「Chrismahanukwanzakah」に流れ着いた。
2004-5年に携帯電話会社がキャンペーンに使っていたフレーズらしい(参照)。
「It’s OK if you’re a Muslim, a Christian or a Jew(イスラム教でもキリスト教でもユダヤ教でも、なんでもいいよ)」で始まるCMソングが、一度聴くと頭から離れなくなる。
YouTubeに行くといくつかのバージョン違いが見つかるが、とにもかくにも、宗教や人種や性的指向などの垣根をとっぱらって、全部ひっくるめてみんなで楽しくやりましょう、というコンセプトのようだ。
どういう背景で作られたのか気になったので調べてみたのだが、当時の情報が驚くほど残っていない。
かろうじてニュースリリースを見つけたが(参照)、そこに載っているChrismahanukwanzakahの公式サイトはすでに使われていないし、このリリースの掲載先も見当たらない。
ただ、この唯一とも言えるソースのおかげで、いろんなことがわかった。
「Chrismahanukwanzakah は12月13日」…って、あら、明日じゃないの。
そしてリリースの題は、「Virgin Mobile Holiday Campaign Tweaks Post-Election Obsession Over ‘Divided Nation’ With Tongue-in-Cheek Celebration of Inclusiveness」。
当時のアメリカ国民が、大統領選挙後、「国家が分裂してしまう」という不安に苛まれていたことが伝わってくる。
2004年といえば、3回前の大統領選挙の年。
なるほど。
その後、ああなってこうなって、「Merry Christmas で行こうぜ!」となったというわけか。
12年 行きつ戻りつ 繰り返し
メイクアメリカ グレートアゲイン (参照)