Departures

いろいろあって、まわりまわって、『おくりびと』を観た。

この1年、本当に本当にいろんなことがあった友人Jと久しぶりにごはんを食べながら、ゆっくり話したときのこと。
「日本の人たちは、死や、亡くなった人のことを、どう考えるの?」と聞かれた。
「日本の人たちがどうなのかは、私にもわからないけど」と前置きして、自分の考えを話すと、Jは深く深く納得したようだった。

帰宅後、「日本の人たちがどうなのか」の部分について説明になりそうなものを探し、この論文をダウンロードしてJに送った。
Contemporary Japanese view of life and death as depicted in the film Departures (Okuribito)(参照
翌日、Jから「わ、この映画、DVD持ってるけど観たことない!」との返事が。
「ずっと前に誰かに勧められて買ったんだけど、観てなかったんだよね」。

私も公開前から観たいと思いながら、なんとなくチャンスを逃して、まだ観たことがなかった。
で、「じゃあこれも何かの縁だから、一緒に観よう」ということになった。

それから1ヶ月余りが経ち、ようやく今日、Movie Nightが実現した。
映画の前に、まずはJの家の近所にある、ローマ字読みできるスペルだけど意味がわからない店名のSushiレストランで、interestingなJapanese料理を楽しむ。
Sushi Pizzaはある程度覚悟してたけど(tacoに刺身やアボカドを載せた、ピリ辛の前菜だった)、Rainbow Naruto Rollには驚かされた。
「tuna, salmon, white fish, crab meat, avocado, & cucumber」と書いてあったので、てっきり色とりどりの太巻きSushiかと思ったら、きゅうり以外の具が、きゅうりをタテに薄く切ったもので巻かれていた。

Sushiのリストに「Salmon (sake)」と書いてあった。
私「サーモンが酒ってなんだろうね」
J「知らないけど、じゃあこのTunaのMaguroってのは?」
それでようやく「あぁぁ、酒じゃなくて鮭か!」と気づく始末。
Jに「サーモンとお酒は同じ言葉なの?発音が違う?」と聞かれ、「同じ。ん?あ、アクセントが違う。サケ?ちょっと待って。えーと」とまごつく。

せっかく「Japan Day」と銘打っていたのに、日本語に見えるけど日本語じゃない名前のレストランで、米を使わないJapanese料理に、“サケ”がわからない日本人って。
とほほ。

それから、Jの話を聞く。
いろんな出会いや、別れや、偶然や、運命や、選択や、直感や、困難や、悲しみなど。
もちろんまだ完全ではないけど、前回会ったときよりずっとしっかりして、エネルギーの種のようなものが感じられた。

そしてJの家に戻り、映画を観た。
あろうことか、主人公が見下ろす川に、鮭が。
すかさずJに「あれはどっちのサケ?」と試される。

そして主人公が「人の運命っておもしろいですよね。どこでどうなるか、わからない」と言う場面で、Jは「本当よね」と言った。
「あなたもそうよね。この国に来て、この街に住んで、私たちと出会って、今日ここで映画を観るなんて、想像もできなかったでしょ。」

うん。
次から次へと押し寄せてくる難題を乗り越えつつある友人と、大変だった1年の終わりが見えた頃に、こんなふうに静かに感情を共有することになるなんて。
どこでどうなるか、わからない。

「Departures」への2件のフィードバック

    1. おぉぉ、復元・公開されていたのですか!映画とからめて、”Gone but Still There”と呼びたくなるようなご経験ですね。

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