Robot

「あなた、ロボットじゃないですか?」と聞かれた。

数ヶ月前からFacebookページだけで公開していた「TED日本語字幕作成ウラ話と、英語学習のヒント」をまとめて、ブログを作ることにした。(参照
私はTEDが英語学習に使えるかどうかは知らないし、星の数ほどある他のあらゆる“教材”と同じく、なにはともあれ使い方次第だろうと思うが、どうやら「TEDが英語学習に使えそう」という予感を持っている人はとても多いようである。
というわけで、個人的な見解はいったん脇へ置いて、ひとまずその“予感”に乗っかってみることにしたというわけ。
背伸びしすぎや情報過多で学習者が疲弊してしまわないように、選別や咀嚼のサポートができたらいいなと思っている。

で、思い立ったら吉日のすぐやる体質、「一の足」(参照)な私は、さっそくブログを立ち上げ、まずはすでにFacebookページに載っている記事5件を移転した。
あれこれ試してフォントや体裁が固まったので、HTMLのテンプレートを作り、より古い作品の移転に着手した。
私がこれまでに翻訳またはレビューをした作品は88あるので、ひとまず88ページ作って映像の埋め込みや作品の基本情報だけを整えておくと便利だなと考えた。
ほぼコピペで済むこうした機械作業は一度にまとめてやった方が効率が良い。
ここまでやっておけば、あとは後日ゆっくり「ウラ話」と「ヒント」を書き入れるだけになるから、それも効率が良い。

テンプレートを使ってページを作成しながら、手元にあるいくつかの資料をコピペしやすいように配置しなおしたりして、作業の仕方を“改善”し効率をさらに上げる。
まもなく、「大量生産工場かよ」というぐらい、パッパパッパ仕事が進むようになった。
私はこういう頭を使わない作業のために頭を使うことが、本当に得意。
自分で編み出したやり方を、自分の脳が学び、その知識と技術が脳の前方から後方へ移動して作業が自動化され、意識しなくても手や目が勝手に動くというプロセス。
まさに「4 stages of competence」(参照)の学習モデルどおり。
このペースなら88ページはあっという間に出来上がりそう。

と思った矢先。
ページ保存をしたところで、画面上にポップアップが出た。
「あなた、ロボットじゃないですか?」
「今日やたら大量に投稿しているので、念のため聞きますが、ロボットじゃなかったら下のボックスにチェックを入れてください。」

なんでやねん。
てか、そっちこそロボットやろ。

「失礼な」と思ってもいいのだろうけど、AIやロボット工学が着々と進化する中、これはむしろ光栄なことと捉えておこう。
「ええ、ロボットじゃありません」(参照)をクリックして、作業を再開した。

軽快に作業を進めていると、またポップアップが。
「あなたがロボットじゃないことを証明してください」
「今日やたら大量に投稿しているので、ロボットじゃないことを証明するため、下のボックスにチェックを入れてください。」

なんでやねん。
だから、そっちこそロボットやろ。
もう、そんなに言うなら今日はここまでにしといたろ。

それで思い出した。
以前、たぶんまだ夏に長期の帰国をして、2-3ヶ月の派遣社員として日本の会社で事務をやっていたときのこと。
書類の確認とかデータの移し替えとか、忘れちゃったけど何か仕事を頼まれて、量は多かったけど単純だったので、すぐに効率の良い方法を編み出してパッパパッパ進めていた。
で、上司に当たる担当者に「終わりました」と持って行ったら、「そんなはずがない!」と言われた。
驚きと怒りの混ざったような、大げさな反応をされてしまった。
もちろん手抜きなんてしてなかったんだけど、入念なチェックを受け、その後もしばらく、仕事を頼まれるたびに監視されるようなことが続いた。
「私の隣のデスクで仕事しなさい」と言われたこともあったな。
まぁそれでも数週間のうちに誤解はとけて、派遣期間が満了になる頃には、なんだかひどく惜しんでもらったような記憶がある。
今これを書きながら相手の姿が3人ぐらい浮かんできたので、たぶん3回ぐらいはそんな目に遭っているのだろう。

そうか。
あの人たちの反応は「あなた、ロボットじゃないですか?」だったのか。
私がロボットの嫌疑をかけられるのは、今に始まったことじゃないんだな。
てか、じゃあ、実はロボットなのかもね。

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