「二の足」さんの世界は思ったより深かった。
友人に、すごい話を聞いた。
彼女の口から急に別の友人の名前が出てきたので、「あれ?その人と接点あったっけ?」と尋ねたら、接点は私だという。
私が彼女を含む大勢に宛てて出した、ある求人情報がきっかけ。
「あぁ、そんな話あったね。でも、それずいぶん前でしょう?」
ってか、私はその件があったことすらすっかり忘れていた。
が、彼女はその仕事のことがずっと気になっていて、4ヶ月ほど経っていよいよコンタクトしてみた、と言うのだ。
ひょぇぇ。
さてはおぬし、なかなかの二の足だな。
でもさすがに4ヶ月もポジション空きっぱなしってことはないでしょ。
ところが。
その仕事を引き受けていた人がこの学年末をもって帰国することになり、その後釜を探し始めたところという絶好のタイミング。
どうやらトントン拍子に進みそうなのだ。
えぇぇ。そんなことあるの?
でも、そうかぁ。
二の足を踏んだだけのことがある、という場合もあるのかぁ。
驚いたことに、彼女はこのタイミングを狙っていたと言う。
最初の募集の時点では自信がないから、躊躇するのはしょうがない。
見送っている間に、他の人がその仕事に就くのもしょうがない。
でも学年末になったら入れ替わりのチャンスが来るかもしれない。
それまでの4ヶ月の間、少しずつ自信をつけよう、と、いわば戦略的に二の足を踏んでいたのだそうだ。
んまー。
二の足にもいろいろあるんだね。
でもまぁ、そんなにやりたかった仕事じゃないんだよね?
その仕事に就いてた人が移動せず、チャンスが巡ってこなかったら、それはそれで、別に構わないって程度の興味だったんだよね?
ところがところが。
彼女は何年も前から、この仕事を狙っていたと言う。
ずいぶん前に経験者に話を聞きに行って、興味がわいて、機が熟すのをずっと待っていたという。
私から募集のメールが届いたときは「キターーー」ってな感じだったらしい。
が、しかし、でも、なのに、4ヶ月温めたんだ。
二の足界の入口で、未体験の耳年増状態の私にはちょっと上級すぎて意味がわかんない。
そうなってくると、そりゃ二の足もアリになるよね。
「待ちに待ったチャンスをみすみす逃した」って話なら、二の足を踏んだことを後悔するのかもしれないけど、何年か越しプラス4ヶ月越しに、見事目的を達するわけだから、むしろ「果報は寝て待て」ってなもんで、二の足から足を洗うことにはならないわけだ。
うーむ。
ま、習いたてとはいえ、今は私にもわかるよ。
「興味はあるんだけど…」と言いつつ、行動に移さない。
行動に移さないとはいえ、興味は失っていない。
「興味がある」と「やんない」は両立する。
「興味がある」は嘘じゃない。
…でしょ?
知ってる知ってる(ドヤ顔)。
ところがところがところが。
「いや、中には嘘の人もいますよ」。
えぇぇーっ。
「口先だけで、実際には興味もないし、絶対やらない人もいます。」
じゃ、じゃあさ、蛇の道は蛇。餅は餅屋。
二の足さんは、他の二の足さんが言う「興味あり」が本当か嘘か、見分けられるの?
「いや、それは無理です」
くゎー。
なんだよ、もう。
全然わかんないよ。
その後に聞いた“講義”によると、以下のとおり。
「興味ある」という言葉だけを聞いて本当か嘘か判断することは不可能。
見分けるコツは、その人の他の行動を見ること。
「興味ある」と言ってしばらくしてから行動に移した実績があれば、今回の「興味ある」も後々行動につながることが多く、つまりその人の「興味ある」は本当である可能性が高い。
逆に、他のことでもまったく行動していない人の言う「興味ある」はいつまでたっても行動につながらない可能性が高く、興味があるかどうかも疑わしい。
なるほど。
“一の足”な私は少し前まで「ぜんぶ嘘」と思っていたけど、二の足さんにしてみれば、「『口先だけ』と一緒にされたくない」というところがあるのかも。
「興味がない、やるつもりがない、実際やらないのなら、最初からそう言ってくれればいいのに」と言うと、「そこに彼らのプライドがある」と。
ほほぅ。
「口先」さんの独自ランキングでは、行動しない人の中でも「『興味がない』『やらない』と言う人」が最下位で、自分たちは「興味がある」「やりたい」と言える分だけ上にいるつもりなんだそうだ。
(※個人の意見です)
はー。
おみそれしました。
というわけで、二の足の世界にもいろいろあって、それなりに奥が深そうなことはわかった。
でも、もういっかな。
私の手には負えそうもない。
全体的に、ご自由に+ごゆっくりどうぞ。
私は今後も「やるならやる、やんないならやんない」で行くよ。
これにて、私の「二の足ばなし」は完結。