「データ」

「データ」って、何?

最初に「?」と思ったのは去年の夏。
友人の送別会用に、サプライズ的な贈り物として絵や画像や文をまとめたものを作ってもらうにあたり、日本にいる日本人たちとやり取りをしていたときのこと。

最初の段階で「データで送ります」という返事が来たので、とりあえず了解、じゃそれで、ということになっていた。
しかし、締切り間際になっても送ってくる様子がない。
スライドショーになるのか、コラージュになるのか、デジタルの状態のまま披露するのか、プリントするのか、それによって準備が変わってくるので、どういうフォーマットのものを作ろうとしているのか、再度聞いてみた。

「ご連絡が遅くなり、申し訳ございません。
データの送付というかたちで大丈夫ということで良いのでしょうか?」

全体にただようこの独特の丁寧さはイマドキの日本の若者ことばの特徴である。
丁寧なんだけど、情報交換には向かない。

それはともかく、どうやら彼らの方ではすでに何らかのフォーマットを想定していて、それを「データ」と表現しているらしいことがわかった。
それはわかったけど、「データ」の正体はわからない。
そしてその後、ギリギリのタイミングで届いたのはPDFだった。
ふむ。
これが彼らの言う「データ」なのか。
「データ」って何だ?

事をややこしくしたのは
「彼らは英語ができる」という前提から、私がこの語の日本語/カタカナ語としての意味を確かめなかったせいだろう。
そして「彼らは研究者じゃないから”data”という英語と馴染みがない」という事実を、私が見落としていたせいだろう。
Salience(参照)のズレである。

もちろん、これはお互いさまなので、日本語ネイティブ同士とはいえ、私が日本の携帯・スマホまわりの用語を知らないことや、私が研究という文脈における”data”という英語の語を日常的に使っていることを彼らが考慮して、彼らの「データ」が意味するところを私に説明してくれてもよかった。
ただ、世の中はそう公平にはできていない。
現実的、実質的に、私の側の落ち度だ。

で、まぁなんにしろ贈り物は間に合って喜ばれたので、一件落着となった。
ただ、「データ」って何?という疑問は、その後も解決せず、ときどき私の前に現れる。
ウィキペディアで「データ通信」(参照)や「データ転送」(参照)を読んでも「データ」が何を指すのかよくわからないし、わかったとしても、一般の人が「データで送ります」と言うときの「データ」とは別物のような気がする。

携帯電話会社(参照1 参照2 参照3)や「データ」を他の人に届けるサービス(参照1 参照2)における「データ」という語の使われ方をざっと見る限り、どうやら「データ」というのは英語で言うところの”file”のことのような気がする。
それなら「データで送ります」でPDFが届いたこととも辻褄が合う。

というわけで暫定的に「データとは、文書、画像、映像、スプレッドシート等を含む電子媒体コンテンツの総称。英語では”file”」という感じで理解した。
合ってるかどうかはわからない。
念のためElectronic document(参照)の定義を読むと、これを”data”と呼ぶのもアリっちゃあアリのような気もする。
んんー。

「ファイル」だと文房具のイメージが強いから、別の語が必要だったのかな。
でも「電子ファイル」→「ファイル」を経て、”file”の意味で「ファイル」を使っている個人も団体も、少なくともネット上にはかなりいるようだから、まぁ、“揺れている”というところかな。

とりあえず英語教育的には、”I’ll send it as data.”と言っても、相手はぽかんとしちゃうかもよ、ってことだけ書いとくかな。
(じゃあどう言えばいいかは自分で考えてください。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です