「自信」について、また。
私は自信を持っていないし、今後も持つ予定はないのだけど、自信を持っていたら良かったのに、と思う場面は時々ある。
今日、たまたまこんな記事を読んだ。
Overconfidence linked to one’s view of intelligence
世の中には、たとえば才能や頭の良さを「生まれつきだから変わらない」と思っている人と、「努力で変えられる」と思っている人がいる。
前者の考え方をFixed mindset、後者の考え方をGrowth mindset という(参照1 参照2)。
Fixed は「固定した・不変の」、Growth は「成長・発達」。
ここでは仮にF型、G型と呼んでおこう。
「変わらない」のF型の人と「変えられる」のG型の人。
どっちが自信があるか。
パッと見、G型じゃない?
早押しだったら私はきっとそう答えてた。
で、不正解。
ワシントン大学の心理学者、Ehrlinger 教授の研究によると、自信家はF型なのだという。
そのココロは、F型は簡単な部分に集中し、難しい部分はちゃちゃっと済ませる。
で、「自分は他の人よりよくできた!」と思い込む。
だから自信がつく。
一方、G型は難しい問題にじっくりと、まともに取り組む。
簡単な部分ができただけでは満足しない。
ま、だからって自信をなくすとは限らないけど、少なくとも、自分の出来を水増しして「できてる!」と思い込んだりすることにはなりにくい。
なるほど。
そう言われてみればそうね。
私の周りを見渡してみても、自信家とおぼしき人は単純で明るくて前向きで軽やか。
揺らいだり迷ったりすることが少なく、大胆。
想像が不得意で、少ない情報から断定することが多い。
確かにどれもF型じゃないと無理だよね。
「足りてる」「もう大丈夫」と思うからこその、自信。
一方、自信のなさそうな人は、いろんな可能性や複雑な伏線を想定して、考えられる限りの多様な結果に備えて、慎重に確認して、もう絶対大丈夫なのにまだ心配している。
どんなにちゃんとできても、周りの評価が高くても、「今回はたまたま」「運が良かっただけ」とかなんとか、本人評価は辛口。
確かにこれ、G型じゃないと無理だよね。
「足りない」「まだまだ」と思っているからこその、成長。
でさ。
一見、自信のありそうな人が実は不安だらけで、ちょっとしたことで急にグラグラしたり慌てたりするのも、一見、自信のなさそうな人が実は肝が据わってて、イザと言うときどっしり構えてて頼りになるのも、F型とG型の違いに重なるよね。
F型の人は不安だから、人やモノや関係性や、その他もろもろについて、できるだけ安定した状態を保っておきたい。
知らないことや見えないものは怖いので、はっきりした答えをいち早く手に入れたい。
「数」「金額」「ブランド」「地位」などの指標が他者より高いところに位置していると安心する。
そういうわかりやすい指標の範囲内で「できてる!」と思いたいのだし、「できてる!」と思うためには指標を単純明快で短期的なものに留めておく必要がある。
指標は“絶対安全”だから、それが崩れるとパニックになる。
G型の人は他人が定めた指標を当てにしない。
G型の人は「できてる!」と思う必要がないから、複雑で長期的なことにも、未知のものにも冷静に取り組める。
モヤモヤしても、そこに留まって耐えることができる。
「不安な自信家」や「肝の据わった心配性」が矛盾するとしたら、それは言葉の問題。
「自信」の定義の問題でしかない。
私もかつては矛盾すると思っていたし、いまだに早押しではうっかり間違えちゃうけど、これはまったく矛盾しないのだ。
で、まぁある程度納得したところで。
全部ひっくるめてどうでもいい。
自信なんてあってもなくても関係ない。
やること決めて、やりゃいいんだ。
「自信」について、長いこと考えてきたからね。
いよいよ飽きたのかもな。
どうだろ。