「もしもしお母さん?私だけど。大学から連絡なかった?」
「ないよ。どうしたの。声がヘンよ?」
「国際電話だからかな。実は…(すすり泣く)実は研究論文のコピペがバレちゃって、いま大学の裁判にかけられてるの。」
「えぇぇっ、大変じゃない。」
「うん、それで大学への罰金として、今日中に1千万円が必要なんだ。お金が用意できないとクビになっちゃうんだよ。」
「まぁ、そんな大金、どうするの!」
「師匠が700万用意してくれるから、残りの300万をお母さん用意してくれない?お金はすぐ返すから。ちょっと師匠と代わるね。」
「え…」
「あーもしもし。教授のKです。いつもお世話になっています。彼女のコピペが倫理委員会で見つかりましてね。お金はすぐに返しますから、なんとか用意してもらえませんか」
「わかりました。なんとかします。」
「ありがとうございます。では娘さんに代わりますね」
「お母さん、ありがとう。このこと皆には内緒にしてね。金融機関では『家のリフォーム代』って答えて。」
「わかったわ。すぐ振り込むね。ところで…」
「なに?」
「師匠、日本語じょうずね。」
ガチャッ。
警視庁では電話訓練のアクションプログラムを提供している(参照)。
※今回のシナリオは「オレオレ詐欺編」お試し版(参照)を元に作成。
素人がプロ集団を相手に、被害を完全に防ぐことは難しいけど、仕組みを知っておくと、イザというとき少しは役に立つと思う。
息子、娘が、自分の仕事や環境の実態を踏まえて、自分の家だったらどんな電話がかかってくるか想定して、親と話し合う機会を持つようになったら、結構、減らせるんじゃないかな。