ある人にとって普通のことが、別の人には呪術のように見える現象について。
ある著名な翻訳家の方が初めて行ったマッサージ屋さんで職業を言い当てられたというツイートがあった(参照)。
ま、そうだろうね、と思う。
驚いた風に書いておられるが、このご本人にしたって、翻訳者を育てる現場では日常的にこうした“シャーロック”を発揮しているはず。
そしてそのたびに受講生に「えぇ、なんでわかったんですか?」と驚かれているだろう。
私は特殊能力の存在を否定はしないが、一般の人が思うほど多く存在しちゃいないだろうと思う。
どこにでもゴロゴロあったら“特殊”じゃないからね。
占い、予言、透視などには、専門的な知識と、観察と、蓄積された経験、それらに基づく感覚の組み合わせによってほぼ説明がついてしまうものが多く含まれている。
その意味で、「占い」「予言」「透視」は「推理」「推測」「予測」「予報」の類語。
「解説」や「教示」とも非常に近い。
学校で嫌なことがあって家へ帰ると、いきなりお母さんに「なんかあった?」と聞かれる。
えぇぇ、なんでわかったの。
まだ何も言ってないのに。
お母さんには子どもの行動を見透かす特殊能力がある。
たどたどしいながらも何があったか話してみる。
「じゃあ明日はこうしてごらん。きっとこうなるよ。」と言われる。
試しに言われたとおりやってみると、本当にそうなる。
お母さんには子どもの未来を予言する特殊能力がある。
そういうことだよ。
「この発音、ちょっと迷ってますか?」
「英語圏に住んでいたのは中学生ぐらいまでですか?」
「周りはアジア人が多い環境ですか?」
「この文法項目、苦手ですか?」
「普段は大丈夫だけど、こういうときに困りませんか?」
「読むの、速くありませんか?」
「ここ、本当はこう言いたかったんじゃないですか?」
えぇぇ、なんでわかったの。
ちょっとしゃべっただけなのに。
言語コーチには学習者の行動を見透かす特殊能力がある。
そういうことだよ。
ふっふっふ。