カード社会

カード社会の恐ろしさを知る。

うちのランドリー室にICカードが導入されたのは2013年11月。
それ以前はクォーター(25セント硬貨)を並べてガッチャン、とやるタイプだった。

私は現金を使うことが少ないし、ましてコインが入ってくることなんてめったにないので、わざわざ銀行で両替してクォーターを作っていた。
カードになって、その手間が省けるようになった。
入金する機械は管理オフィスにしかないが、幸い私の部屋からは近いので、いつでも行ける。
紙幣を入れて、ウィーン、数秒待つだけ。
「洗濯物がたまっているのに、コインがないから洗濯できない」という心配や不便から完全に解放された。

便利で快適。
これぞ世の中が目指す方向。
人類の叡智、科学技術の進歩。

で。
この2年で私は洗濯の回数が増えたと思う。
いつでも洗濯できると思うと、洗濯物が増える。
毛布や布団やソファカバーなどの大物も気前よく洗濯するようになる。
洗濯物の量が大きな洗濯機に少し満たないときも「ま、いっか」と思って回してしまう。
太っ腹になっちゃっているのである。

コイン時代に使い切れなかったクォーターはもう使い道がない。
昔は洗濯と駐車にクォーターは必需品だったもんじゃがのう。
いつかどこかで両替しようと思いつつ、放置してある。

気前がよくなっちゃったのは、お金だけではない。
洗濯の回数が増えたということは水や洗剤の量も増えているということだ。
電気を使い、かなりの熱を放出する。
エコじゃない。
だけど、気にならなくなってしまっている。

今のところ、ランドリーの料金はコイン時代の据え置きで、洗濯・乾燥とも1回$1.25だけど、値上げしないとは限らない。
「ガチャン」なアナログの料金箱だったら、並べるコインを5枚から6枚に改造するのは大変そうだけど、「ウィーン」なデジタルの料金箱なら数字を書き換えるだけでできそうな気がする。
そして住民も、値上げに対してコイン時代ほど抵抗しないだろう。
「家賃だってぐんぐん上がってるしね」「機械が新しくなったからね」「便利だからいいんじゃない」ってな感じで、ちょろいもんじゃないかと思う。

私は物欲が弱いので、クレジットカードによって購買意欲が高まるというのはよくわからない。
でもこの洗濯用ICカードには、まんまとやられているというわけだ。

うぬぅ。
資本主義め。
(合ってるかな?)

…ということを、乾燥機を回しながら記す。
で、洗濯物がふんわり良い香りになって仕上がる頃にはきっと忘れている。
愚かだなぁ。

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