Kumato

軽い気持ちで踏み込んだら意外と深かった「Kumato」の名前の由来。

スーパーで普通に見かけるKumato。
Bekana (参照)のように、日本語ネイティブの私が知らない日本語かな、と思っていた。
黒トマト→Kumato って、いかにも日本的な発想だし。

ま、どうせ検索に頼れば数秒で解決するでしょと思いつつ、実行せずに長いこと放置していた。
私はスーパーに行くと野菜コーナーから順にまわるので、スーパーに入ったときには「あ、そうだ。Kumato 調べようと思ってたんだった」と思い出すのだけど、一周してレジに着くころにはすっかり忘れている、その繰り返しだった。

そんな感じのやる気のなさで、ようやく思い立って検索してみると、意外や意外、「Kumato」の名前の由来は数秒どころか、そこそこ追っても解決しない難題であることがわかった。

まずは「Kumato 由来」で検索する。
「日本語みたい」「語源は『黒トマト』が有力」(参照)「クロトマトが詰まってクマト?と思ったのですが、どうもそうではないようです。」(参照)「さすがに名前の由来までは調べてないです。」(参照)「日本語が由来してるのかと思ったけど。どうやら違うらしい。」(参照)「『トマト+クのつく何か』だと思うのですが。クって何だろう。。。???」(参照

んんんー。
かえって身悶えることに。
この感じで終われるってすごいと思うけど、まぁこれが世の中の“普通”なんでしょうなぁ。
…と、言語オタクの我が身を憂いつつ、こうなると逆に放っておけなくなっちゃう。

日本語サイトで他に見つかった情報は、「織部トマト」(参照)で、こちらの由来は「色の変化」→「織部焼」→「織部」(参照)といたってシンプル。
以前「織部」を販売していたらしいカゴメのサイト(参照)にはほとんど情報がないので、今はもう売ってないのかな。

で、「Kumato」に戻って英語サイトを検索。
Wikipediaは「スペインで品種改良されたトマト」(参照
ってな感じでやる気がない。
別の情報によるとアルメリア(スペイン)の農場で最初に発見されたらしい(参照)。
野生モノと栽培モノの自然交配でできたんだって。
こちらのサイトは”The subsequent research period yielded much frustration and contradictory information” というぐらい
頑張って調べているから信用できそうなんだけど、残念ながら名前については興味がなかったみたい。
スペインで「Olmeca」と呼ばれていたこのトマトは2006年にスイスのSyngenta 社(参照)が特許をとって「Kumato」という商品名で大規模に販売されるようになった。
ヨーロッパで出回っている「Kumato」はこれ。

Syngenta 社はどうして「Kumato」にしたのかなぁ。
企画部の社員に日本語ができる人がいたんだったりして。

ちなみに「Kumato」の種は市販されておらず、Syngenta社がほぼ独占的に権利を所有している。
また、原産にまつわる情報も微妙らしい(参照)。
名前以外にも謎が多いのね。

アメリカではカリフォルニアのDulcinea 農場(参照)で「Rosso Bruno」という名前で栽培されている。
アメリカ人にはこっちの名前の方がウケがいいと見てSyngenta 社はアメリカ(+カナダ?)向けに「Kumato」から「Rosso Bruno」に変えた説(参照)もあるけど、詳しいことはわからない。
ってか、いつの間にかイタリア語風になってるよね。
「Rosso」は「赤」、「Bruno」は人名だろうけど、語源的には「brun」→「brown」だから、やっぱり色を連想させる名前にしたのかな。

ちなみに私がスーパーで見かける「Kumato」はカナダのSunset 社の「Kumato」(参照)。
こちらはこちらで、「Kumato」という名前が使える事情があるのでしょう。

ここまで調べて振り返ると、「黒トマト→Kumato」でじゅうぶんウケそうな日本で、その名が使えない事情がありそうな気がしてくるよね。

ま、これ以上は深入りしないでおきましょ。
とりあえず、「Kumato」の由来は日本語じゃなさそうってことで。
おしまい。

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Tokyo Bekana (2012/5/19)

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