妹弟子のIから、弟子っこ全員に「助けて」メール。
提出する必要がないと思っていたある書類がどうやら必要らしいという情報を得たI。
ただ、その書類は師匠に頼んで送ってもらわなくちゃいけない。
普通のアメリカの大学院の師弟関係なら「師匠、これお願いします」「はいよ」で終わりそうな案件だが、うちの師匠に限っては、こういう些細なものほど嫌うので、弟子は困ってしまう。
まして学期末の今、師匠はすでにヨーロッパに行ってしまっている。
そこでIは「師匠に連絡する前に、みんなに助けてもらえないかと思って」弟子っこ仲間にメールしたというわけ。
Iからの質問は、
1. 過去にこの書類を提出した経験のある人はいるか。
2. いるなら、そのコピーを共有させてもらえないか。
3. 師匠に頼む以外の方法はないか。
普通のアメリカの大学院の弟子仲間なら「なに言ってんの。自分で直接頼みなさい」なんだろうけど、うちの門下に限っては、「わかる、わかるよ」。
ひとまず私から返事。
1. については、経験あり。
2012年に制度が変わってこの書類が必要になった直後、師匠に頼みに行ってエライ目に遭った。
「そんなことが何故必要だ」「おかしいだろう」と私も怒られたし、書類提出先にも文句言いに行ってたし、「Department の会議にかける!」と息巻いていた。
が、最終的には折れて、しぶしぶ書類を作ってくれた。
おそらくそのときが最初。
それから3年も経っているので、もう師匠もわかってると思うよ。
2. は書類の内容からしても、師匠の性格的にも勝手にそんなことをするのは許されないので、却下。
3.はひょっとしたらSecretary のBに原本を渡して、自分が不在の間に対応するよう言いつけているかもしれないから聞いてみたら?
すぐに姉弟子のMから返事が。
「なーるほど。そういうことか。いつからそんなことになったのかと思ったら2012年ね。私が済ませた2010年には必要なかったんだわ。Sorry, I. Good luck.」
うん。
残念だけど、これはまさに「Sorry. Good luck.」としか言いようがないのだよ。
するとIから返信。
返事を待っていたのがわかる。
Secretary のBにはすでに当たっていて、あいにく原本は預かっていないと言われたそうだ。
それで、「最後の手段でみんなにメールした」と。
なるほどね。
「こういう細かいことを頼むと激怒するだろうから」。
よくおわかりで。
「しょうがない。師匠にメールしてみる」
うん。Sorry. Good luck.
「でもいちおう『emi が持ってるのをコピーしてもいいですか?』って聞いてもいい?」
うーん、それはかえって怒られそうな気もするけど、ま、師匠がいいって言ったらいいよ。
さらに、同期弟子のUから返信。
「僕も頼んで師匠を不機嫌にしたことがあったけど、最終的には提出できたよ。こういう些細なことで連絡したくない気持ちはわかります」。
みんな、よくわかってんなー。
っていうかUの時にもまた不機嫌になってたのか。
このやりとりを傍から見ている若い弟子っこたちはどう思ってるのかね。
Sorry. Good luck.
念のため書き添えておくと、うちの師匠は面倒くさがりだけど、面倒見はいい。
他の人が面倒くさくてやらないようなことは、意外とやってくれる。
キレやすいけど、ここ数年はずいぶんと丸くなった。
あんな感じだけど、根は悪い人じゃない。
ただ、まぁ何年か弟子をやれば、一度や二度は、えーと、いろんな経験をして、その、なんていうか、良い勉強の機会を与えてもらうことになるのだよ。