五人囃子

五人囃子について、知らなかったこと。

単身や短期の留学生や社会人ではなく、アメリカで家族を持っているような在米日本人は、日本の年中行事を大切にする傾向がある。
子どもがいるおうち、特に国際結婚の場合は、親の方に日本文化を継承したい思いがあるので、年中行事にきちんと参加していることが多い。

お正月には着物を着て、おせちやお雑煮をいただいたり、書初めや餅つきをしたり。
他にも節分、七夕、夏祭りなどなど。
私は母がお茶やお華をやる文化的な人で季節や行事に敏感だということと、日本語を教えるにあたり個人的に勉強したという理由で、まぁだいたい押さえてはいるが、これはむしろ特殊な例。
日本育ちの日本人の多くは在米日本人ほど年中行事をやらない。
住宅事情もあるしね。

そんな中、先日うかがったおうちに、雛人形が飾ってあった。
雛祭りはうちの実家でも恒例で、毎年、私の七段飾りと、代々伝わる古くて大きくて怖い、切れ長の内裏雛を飾る。
まだ若いお嬢さんのためのお人形は顔立ちなどもイマドキで、間接照明で大人っぽくおしゃれな仕上がりになっている。
さらに「女性がServe するという考えが合わない」という理由から三人官女が不在であるなど、アメリカ風アレンジも入っていておもしろい。

五人囃子に目が留まった。
…んん?
なんだか様子が違う。
ここ10年は3月に日本にいることがなかったのでうろ覚えではあるけど、何かが違う。

「いちばん右の、この人が持ってる楽器は何ですか?」と聞くと、「その人は歌い手だから楽器はないのよ」。
えぇ?
うちには楽器を持っていない人はいなかったはず。
そういえば、ここには笙の人がいない。
「笙はないでしょ。江戸の楽器だから」
うーん。
両手を前に出している人形がいて、毎年そぉっと楽器を載せていたような気がするんだけど、記憶違いかなぁ。

で、帰宅後に調べてみると、五人囃子には能楽バージョンと雅楽バージョンがあることがわかった。(参照1 参照2
ほほぅ。

メジャーなのは能楽バージョン。
謡(うたい)、笛(能管)、小鼓、大鼓、太鼓(締太鼓)という編成。
うちのは雅楽バージョンで、横笛、篳篥、火焔太鼓、笙、羯鼓。
“公家版五人囃子”ということで、五人囃子と呼んでもいいけど、本当の名前は、五楽人(ごがくにん)。
筝と琵琶を加えた七人編成もあるらしい(参照)。
へぇぇ。

もともと内裏雛だけだった雛人形に三人官女などの人形たちが加わったのは江戸時代(参照)。
五人囃子は天明期(1781-1789年)に江戸で作られ、その後、寛政期(1789-1801年)に京都で雅楽バージョンが生まれたらしい(参照)。
京都版の五人囃子を作るというのは、ニューヨークにSushi Restaurant ができて、人気が出た後、日本に上陸して、そのままじゃ売れないから、日本人の口に合うようにアレンジした、みたいな感じかしら。
いずれにしても江戸には吸収力、創造性、活気、異質なものが混在しててもOKなDiversity があったのだろうし、京都は京都で、良いものは認めつつ、取り入れるに当たっては京都流に馴染ませるプライドがあったのだろう。
日本国内でそういう文化的な“分業”が可能だったというのは豊かだね。
Globalization で均一化が進んでしまうのとは対照的。

言われてみればうちのメンバーは大人だし、全員座ってたよ。
江戸のバンドの特徴であるおかっぱでもないし、火焔太鼓というわっかりやすいアイテムの違いもあったのに、よりによってボーカルの有無から違和感を覚えるとは。
我ながら、そこ?って感じ。

ちなみにその日は初めての香道を体験。(参照1 参照2
おいしい鍋料理やお漬物、和菓子をいただきつつ、日付が変わる頃まで、日本語をたっぷりしゃべった。

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