日本から”Paper or Plastic?”について質問が届いた。
「スーパーのレジで”Paper or Plastic?”って聞かれたら、支払いのことなの?」
???
なんで?
「”Paper”=紙幣 or “Plastic”=クレジットカード」
おぉぉ、なるほど。
ウマイ!
で、座布団をあげようとしたら、「…って、テレビで言ってた」
えぇぇ。
英語ネイティブらしいハーフの英語の先生がそう説明してたんだってさ。
うーむ。
まぁバラエティ番組だったらしいから、そういうこともあるのかもしれないけどね。
でも、影響力はプロの教育者以上だろうからなぁ。
困るね。
検索をしてみると、今のところネット上に出ている、この放送に関するちゃんとした反応はTwitter 1件程度(参照)。
まぁ、放送しちゃったものはしょうがないけどさ。
ついでにもう少し検索してみると、2004-5年ごろにはNHKの語学番組で「”Paper or Plastic?”は支払いのこと」と教えていた、という情報が見つかった(参照)。
また、1997年ごろには「ガイドブックか何か」にもそういう記載があったらしい(参照)。
うーん。
昔はそういうこともあったのかもね。
外国で”Paper or Plastic?”と言われた日本人が勘違いしたまま日本へ持ち帰って広めちゃったか、たとえばこういう金融系の見出し(参照)で初めて”Paper or Plastic?”を知った日本人が、後にレジで使われる決まり文句だと知って、点と点を自己流でつないじゃったのか。
↑で引いた「ガイドブック」の人も、その場では通じたようになっちゃってたんだもんね。
同じ勘違いをして、その場で発覚した人(参照)は恥ずかしかっただろうけど、実はそっちの方がラッキー。
ま、でもその頃と違って、今は視聴者がネットに載せて、みんなでよってたかって訂正できる時代だからね。
「え、そうなの?」と思ったら、検索して情報を集めたり、アメリカで英語教育の研究をしてる人に聞いたりして、確認する。
そういうアクションをすぐにとることが大事。
それがリテラシーなのだよ。
それにしても、うーん。
日本の英語は本当にアヤシイな。
番組にしろ印刷物にしろ、“先生”を一人雇うと、英語に関しては、その人に丸投げしちゃうんだろうなぁ。
いちおうはっきり書いておこっか。
私の知る限り、スーパーのレジで”Paper or Plastic?”と聞かれたら、それは袋の素材のこと。
アメリカでもちょっとずつではあるけどエコが進んでおり、地域によってはレジ袋の有料化も始まっている。
レジ袋にビニール製が加わった1977年(参照)から、アメリカ人が日常的に耳にしてきた”Paper or Plastic?”は、まもなくその歴史に幕を下ろすかもしれない。
「現金かカードか」の英語は”Cash or charge/credit?”だが、今どき、スーパーのレジでそれを聞かれることはない。
「XXドルです」と言われたら、お金なりカードなりを差し出すだけ。
大型店なら客が自分でswipe する読み取り機があるので、レジ係がスキャンをしているうちにカードを通しておく。
聞かれるとすればむしろ”Debit or Credit?”でしょう。
カードを手渡した場合には口頭で、読み取り機の場合は画面上で、Debit(預金からの即時決済)かCredit(支払日までの後払い)か選択する必要がある。
アメリカで発行されたカードは、Debit・Credit 兼用が多く、消費者が利用の都度、選べるようになっている。
レジでの支払い方法としては他にCheck(小切手)やクーポン、ギフトカード、Food Stamp(食料費補助券)などがある。
“Paper or Plastic?”→”Paper”→”Cash or check?”って、そんなわけないじゃん。
今度レジで”Paper or Plastic?”と言われたら、「どういう意味?」って聞いてみようかな。
「紙幣かカードかってことさ」と言われたら座布団をあげてこよう。
で、ここまで読んで、「へー、そうなんだ」で終わっちゃダメだよ。
個人の知識や経験なんてアテにならないんだから。
ちゃんと自分でウラを取る癖をつけましょう。
【追記 3/3】
書いた後でこんなの見つけちゃった(参照)…うーん。
すぐ訂正されるだろうから放っておくつもりだったんだけど。
ちょっと気の毒な展開。
私はTwitter を利用しないのでこのやりとりに参加できないけど、誰か知らせてあげてほしいなぁ。
【さらに追記 3/6】
ちょっと違う切り口でFB(参照)にも書いておいた。
ビバリーヒルズ高校白書というドラマで、Paper or plastic?と店員さんが言って、客がPlasticと返事をしてクレジットカードを差し出す場面があります。ちょっと昔は、これも普通だったのだろうと思います。
情報ありがとうございます。調べてみたところ、1990年のドラマなのですね。知りませんでした。この場面に言及している記事もありました。
https://www.mamamia.com.au/teach-children-money-parents-teachers/
さらに、この記事を書いた2015年当時はエコで劣勢だった plastic bags がコロナの影響で盛り返していたことを知りました。
https://www.qualitylogoproducts.com/blog/the-history-of-plastic-bags/
勉強になりました。ありがとうございました!