Thanksgiving

Thanksgiving に営業する小売店に対するアメリカ人の反応について。

アメリカの年中行事のうち、もっとも大事なThanksgiving。
翌日は特売で早朝から長蛇の列…だったのだが、近年はお店の開店時間がどんどん早まり、日付が変わらないうち、つまりThanksgiving 当日のうちに特売が始まるのが珍しくなくなった。
家電などを扱う大型店はThanksgiving の日の午後6時から、翌日Black Friday の夜までぶっ通しで開いている。

日本では祝日に対する意識が薄れ、家族行事が減り、現代日本人はデパートなどが元日でさえ通常営業することにすっかり慣れている。
だから、たとえばアメリカへ来る日本人観光客はThanksgiving やChristmas の日に平気でショッピングの予定を組んでしまう。
で、当日になって、ショッピングどころか、夕食をとるところもなくて困った、というような話をたまに聞く。
「休業が多いとは思っていたけど、これほどとは」とかね。
現代日本人の感覚では、国中が休むなんて理解できない。

その感覚からすると、Thanksgiving の夕方に店が開くことは、まぁ普通というか、驚くようなことではないだろう。
開ければ客は入り、モノは売れ、儲かるのだから、むしろ今まで閉店していたことがおかしいと思うかもしれない。
「他が休むときこそ、営業した方がおいしいんじゃないの?」ってなもんだ。

開ければ儲かる。
そんなことはわかっている。
近年、大型店が開店時間を早めた理由も、もちろんそこにある。
しかしそのことに、アメリカ人は抵抗を示す。

Walmart の従業員がこの日に合わせて起こすprotest(抗議行動)は、年々拡大してきている(参照)。
Target のFacebook には「Thanksgiving に開店する限り、Target で買い物はしない」「店が開いていようとも、行くべきでない」など、Thanksgiving の日の営業に反対するコメントがいくつも寄せられている(参照)。
Kmart は従業員にThanksgiving の日の出勤を強制したとして非難されている(参照)。
Toys R Us の元CEOは、「Thanksgiving は閉店すべき」という意見を表明している(参照)。

休むべき日に休ませないような会社はおかしい。
そんな利益至上主義で従業員やその家族を大切にしない会社では働きたくない。
辞めてもしょうがない。
そんな店では買わない。
こういう声が、この国では上がる。

「映画で見た」「旅行で行った」「ネットで読んだ」など、多くの日本人はアメリカを熟知しているようなつもりでいるけど、こういうアメリカは、日本に伝わっている気がしない。
忙しいアピールをして、残業や休日出勤を自慢げに語り、家族との時間を削り、健康を害してでも働くことを選ぶのは、若い世代では減ってきているようにも思うが、日本全体ではまだまだ根強く残っている。
日本人の目には、そこにある種の美しさが見えるのかもしれないが、アメリカ人の目には、奇妙で不可解としか見えないだろうと思う。
どんなにワーカホリックでも、家族や自分の幸せを蔑ろにする人をアメリカ人は尊敬しない。

アメリカに憧れ、追いかけ、ご機嫌を伺って、頼みもしないのに、いろんな犠牲を払ってまで、アメリカのためになることをせっせとやるのは勝手だけどさ。
アメリカ人から見たら、まったく意味不明。
ま、そういう得体の知れない不気味さを演出する作戦なら、それはそれでいいけど。

グローバル、グローバル。
大きなズレがあるってこと、ちゃんと知ってるのかなぁ。

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