この季節の、晴れた日の、夕方。
広い空が上から下へ向かって、青からオレンジの淡いグラデーションをつくっている。
地上近くには大きな刷毛でシャッと描いたような白い薄雲。
すっかり葉の落ちた木々のシルエットはまるで切り絵のよう。
その向こうには細い三日月がすぅっと尖って傾いている。
やがて青は濃さを増し、オレンジは消えていく。
月はよりくっきりと存在感を示す。
切り絵の黒い枝は、あいかわらず堂々としている。
いつまでもこうして見ていたいけど、もうすぐ日は完全に沈んでホリデーライトが主役に躍り出る。
終わりが近いと知っているから美しいのだと思う。
私はいつか、この景色をなつかしく思い出し、もう一度見たいと望むだろう。
胸がいっぱいになる。
和歌でも詠めたらいいのにな。