姉弟子Mから、お仕事の依頼。
Mは私より1年早く師匠の門下に入った姉弟子。
みんなのお母さん的存在で、私は修士レベルのクラスを持つよう師匠に言い渡されたとき、動揺とプレッシャーで、思わず彼女のオフィスへ駆け込んだものだ(参照)。
Mは今春、見事博士号を取って卒業した。
研究テーマは、一時は私と近かったが、最終的にはESLのクラスにおける母語話者講師と非母語話者講師の効果を比較したものになった。
Mは去年から隣町のS大で留学生用のESOL(English for Speakers of Other Languages) を教えており、卒業後も引き続きそこで働いている。
現在の肩書きはAssistant Director, International Programs/ ESOL Specialist だそうだ。
で、そのMから「来学期、文法のクラスを教えてみない?」と連絡が入った。
S大が新しく始めるIntensive English program(英語集中講座)の講師に、私を使いたいと。
うううーむ。
私にできるかしら。
自信が…あ、今これ言わないキャンペーン中だ(参照)。
Mは「師匠にクラスを言い渡されたときもそうだったけど、なんだかんだ言ってちゃんとできたじゃない」とか言っちゃって、動揺する私を無視してどんどん説明を進める。
いやぁ、来学期はコーチの仕事と自分の博論だけに集中しようと思ってたんだけどなぁ。
クラスを受け持つと、私のことだからそれが最優先になっちゃって、論文がまたお預けになっちゃうんじゃないかしら。
あぁ、こんなとき論文が終わっててくれればなぁ。
いや待てよ、論文が終わってたら、もうここにはいないから、この話は私に回ってこなかったのか。
んんんー。
そんな私の悶えも無視してMは「私も去年そうだったけど、論文漬けの生活より、教えながらの方が生活にメリハリがついていいのよ。そりゃ忙しくはなるけど、時間なんてどうにでもなるんだから。わかってるでしょ?」。
さすが姉弟子/おかあさん。
反論の余地なし。
「それに、文法を教えるには非母語話者の講師がいちばんなんだから」。
はい、ドクターM。
そこは彼女の研究テーマなので、反論の余地なし。
…というところまで来て、ふと気づいた。
ねぇ、私、学生ビザですけど?
「あぁ!」とM。
「そうか!emiはアメリカ人じゃなかった!」
なんでやねん。
バリバリのガイジンやっちゅうの。
学外でのバイトは無理だと思うよ、と言ったが、Mは簡単には引き下がらない。
「何か方法がないか、明日留学生科に聞いてくる」と言い残して去っていった。
いやぁ、無理だと思うよ?
どうなることやら。