赤ちゃん

日曜日の昼下がり。
マンハッタンの地下鉄車内にて。

私は3人がけの、ドア寄りの席に座っていた。
ある駅で正面のドアから白人の家族が乗ってきた。

お父さんと、お母さんと、子どもがたくさん。
背の高いお父さんが肩車している女の子の頭が天井や横棒に当たりそうで、ハラハラした。

お父さんは私の向かい側の席に座り、肩車の女の子を下ろして膝に乗せ、そのすぐ上らしい男の子を呼び寄せて膝の間に挟む。
お母さんは私の横に立ち、大きい子たち3人に、フロアの真ん中に立っている棒につかまるよう指示。

10歳ぐらいを筆頭に男、女、男、男、女。
5人きょうだいかぁ。
みんなとてもかわいくて、いい子そう。
次男が一生懸命しゃべるのに長男と長女が応え、そこに混ざりたい三男がお父さんの膝から逃げ出そうとする。
それを制するお母さんの声が私の左上から飛ぶ。

素敵な家族だなぁと思って微笑ましく見ていると、私の左ほほを何かがかすめた。
ナイロン的な、ゴショッとした肌触り。
触ったというほど明らかではないが、気のせいにするには無理がある、中途半端な圧力。

何だろうと思って左を向くと、なんとお母さんの背にもう一人いた。
6人目、三女だ。
短い右手をいっぱいに伸ばし、腕より長い袖の先が、私の顔に届くか届かないかのところでじたばたしている。

三女は「やっと気づいたか」という感じで、にひゃぁ~っと笑う。
あぁ、またこのパターンね(参照)。
「あ、どうも」的な挨拶を済ませ、正面に向きなおす。
左側から感じるジトッとした視線に耐え切れず
ちょっと目をやると、にひゃぁ~。
またご挨拶をして正面に戻ると
「た!」とか言ってキックしてきた。
届かないけど。
お母さんが気を遣って体の角度を変え、
三女は文字通り手も足も出ない状態に。
すると「あぁぁー」とか「きゃっ!」とか言って
お母さんの背中をたたき出した。

私のせいなんだよね。
すみません。

あいかわらずの赤ちゃん引き寄せ力。
ありがたいし、うれしいんだけど、さ。

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