与える

「与える」ということについて。

世界中で、同時多発的に、「与える」動きが活発になっているように思う。
切り口はいろいろ。

たとえば心理学的に、幸せになる方法として「親切にする」「ボランティア活動をする」に効果があると発表されたり(参照)。
経営や組織の面から、成功するための方法として「惜しみなく与えること」を奨励する本が売れたり(参照)。
大富豪たちがこぞって寄付や慈善事業に携わり、社会学者が、アメリカンドリームの復活という文脈でそれらを紹介したり(参照)。
宗教者の立場から、他の人を助け、他の人を幸せにすることが自らの幸せになると説く人に注目が集まったり(参照)。

『100年インタビュー 経営者・稲盛和夫』を見た(参照)。
「社員の幸せのため」「世のため人のため」「利他」を繰り返し語る姿が印象的だった。

人間を深く見つめ、人間の心をよく観察し、人間の強さも弱さも熟知しているような人たちは、どうやら同じことに気づき、今、それを広く周知することが重要と考えているようだ。
そして一般の人たちもまた、その考えに耳を貸すようになってきている。

人類は進化しているのだなぁと思う。

地球上での繁栄が一段落して、人類は次のステージへ入ってきているのだろう。
また、迫り来る食料、水、エネルギー不足を予感し、そうした危機的状況の中でも生き延びられる術を身につけておこうと準備を始めたんだろう。

私は子どもの頃からなんとなく、人類は絶滅するのだろうと思っていた(参照)。
自分は人類の歴史の後ろの方に生まれたと思っていた。
実際に絶滅の瞬間に立ち会うほど終盤ではないけど、絶滅へ向かっていることが実感できる程度には後ろの方だと思っていた。

でも、昨今の「与える」に関する動きを見て、どうやら人類は生き残ろうとしているようだ、と思う。

本能だけでは生き残れない厳しい状況下で生き残る方法を考え、その方法は理性や知恵、人間性を磨くこと、助け合うこと、与えることだと
結論が出たのだろう。
ところがそれらは一朝一夕には身に付かない。
そこで、勘の良い人から順に、自ら実践して見せよう、となった。
その結果、一般の人にも理解できるような前例や証拠が整ってきた。
今、ココ。
下ごしらえは終わり、広報活動期に入ったのだろう。
わかりやすいメリットを打ち出すことにより、一般の人が「与える」ことを実践しやすいような環境を作り、効率的な伝播を目指しているのだと思う。
この先は、より多くの人たちの間に広く知られ、受け入れられ、いくつかの世代を経て、いずれは「与える」ことが人類全体にとって当たり前になる。
「与える」ことが無意識の、半ば本能的な行動となれば、そのおかげで人類は絶滅を免れる。

ふむ。その手があったか。
ものすごい賢さだなぁ。
このシナリオ通りなら、確かに人類は絶滅せずに済むかもしれない。

もうしばらく成り行きを見守ろう。

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