夏の写真をはじめて撮った。
私は季節ごとに近所の写真を撮って歩く。
そういうことでも課さないと外へ出ないから、とか、過去にここに住み、今は遠く離れている友人たちに“地元”を懐かしんでもらいたい、とか、理由はいくつかあるが、まぁ趣味のない私が定期的にやる、数少ないイベントだ。
初雪が降れば、大雪が積もれば、枝先に芽がつけば、花が咲けば、芝が風に揺れれば、木の葉が色づけば、カメラを持ってお散歩に出る。
で、撮ったものをその日のうちにアルバムにまとめ、スライドショーをFacebookやメールで配信する。
これまでに30本以上作ってきた。
ところが夏のアルバムはひとつもなかった。
最初の5年ほど、毎年夏は日本へ帰国していて、“お散歩”の機会がなかったというのもあるが、私はとにかく暑いのが苦手なので、夏の日の昼間に自主的に出歩くということがまるでないのだ。
でもまぁ今年はアメリカにいるし、夏は今回で見納めかもしれないし、窓から覗く限り花や緑がきれいそうなので、なるべく涼しい日を選んで、思い切って“お散歩”を決行した。
つばの大きい帽子に長袖シャツ。
日焼け対策が堂々とできる日本と違い、ここでこの姿は相当アヤシイ。
空前の“話しかけられブーム”が到来しているにも関わらず、さすがに今日は誰も話しかけてこない。
これでマスクでもしてたら通報されるね。
色とりどりの花や、たわわに実ったリンゴが、強い日差しの中で輝き、生い茂る木々の濃い影とコントラストを見せる。
そうか、ベンチというのはちゃんと木陰になる場所に配置されてるんだね。
知らなかった。
部屋へ戻り、撮ってきた写真をチェックすると、やっぱり他の季節に比べて撮り方が雑。
暑さのあまり、とっととやっつけたい気持ちが表れちゃってる。
と、思ったのだが。
みなさんの反応は意外と好評。
「心が綺麗になったような気がする」とか、「心が洗われる」とか「美しい」とか、うれしいお言葉をいただいた。
あ、そう?
ならよかった。