弟弟子DのProposal Defense に行ってきた。
Proposal Defense とは研究計画提出後に公開で行う口頭発表と質疑応答。
博士課程の場合、これが通らなければ博士論文に着手することができない。
うちの学部ではこのProposal Defense に合格した時点でPhD Candidate と認められる。
学期末でイベントや会議が多いこともあり、DのDefense の予定は変更に次ぐ変更だった。
もともと予定していた日に姉弟子SのDissertation Defense(参照)が入り、1週間後にズレた後、Committee の都合で時間が変わり、さらに前夜になって会場が変更された。
Defense は直前まで準備やリハーサルで忙しい。
精神的にもギリギリの状態。
そこへこういうつまらないLogisticsのトラブルがあると、思いのほかダメージになりやすいのだ。
Dから翌日の会場変更のメールが届き、”I am sorry for this inconvenience”と書いてあるのを見たとき、もうあまりにも気の毒で”I am sorry for YOU!!”と返信した。
Dからはお礼と”I feel absolutely devastated now”という返事。
うぅぅ、がんばれー。
もちろん内心や舞台裏はそんなでも、実際のパフォーマンスには影響ない。
PhD学生は学生といってもプロフェッショナルだからね。
発表を聞きながら、Dとの出会いを思い出していた。
私が担当していた教育実習のクラスに、新入生のDが実習生として入ってきたのだった。
教案はいいかげんで、鼻っ柱が強くて、かわいげのないヤツだったが、授業をさせるとうまい。
うまいから生意気。
そういうタイプの、やりにくい学生だった。
それから6年かぁ。
やっぱり他とちょっと違うヤツだからこそ、後にこんなふうに堂々と自分の研究計画を発表できるようになったんだろうなと思う。
Dは保守的でスケールは大きくないけど、そのぶん地に足がついていて安定感がある。
私のように破天荒なことをして余計な遠回りをすることはない。
人当たりがよく学会などでも積極的に活動しているので、研究者になってもきっと成功すると思う。
そして改めてProposal Defense はキッツいな、と思った。
計画である以上、発表の内容は本人にとっても未知のものなので、発表者の立場はただでさえvulnerable。
加えて、聴衆はほとんどが研究の経験者なのでとってもcritical。
計画には変更の余地が多分にあるので、聴衆からアイディアや提案がバンバン出される。
発表者は自分の主張を守りつつそれらを選別し、的外れなものは却下し、有効な意見は取り入れて、前向きに検討することになる。
対照的にDissertation Defense は発表者に全権がある。
会場内で発表の内容を知り尽くしているのは発表者ただ一人。
どんな質問があろうとも余裕で答えられる。
結果の発表なので大幅な変更はあり得ない。
あるとすれば表現方法とかちょっとした加筆修正程度。
提案も、あるとすれば発表者の将来についてであって、今ここで発表された研究内容に対する提案ではない。
…と考えるとちょっとは気が楽になるかな。
なーんてね。
私のDissertation Defense が近づいたら、その時の私にこの記事を読み返してもらって感想を聞こう。