“Testimonial” という英語は、日本であんまり知られてないらしい。
ウェブサイトのページタイトルに”Testimonials” を使ったら、「よりわかりやすく」ということで修正が入った。
えぇぇ?
“Testimonials”なんて、業界用語でも新語でもない、普通の人が普通に使う普通の語ですよ?
「聞いたことないですね」。
マジすか。
試しに「”Testimonials”+“お客様”」で検索してみる。
うーん。
確かに「普通に使われている」とは言えないかも。
ヒットは約135,000件(参照)。
上位には英語や外国と関わりのある、いわゆる国際系が並ぶので、そのへんを除外して絞りこむと、かなり少ないことになっちゃいそう。
では、利用した人の感想をまとめたページにはどんなタイトルがついているか。
答えは、今回私のところでも“修正後”として出た”Voices”。
「”Voices”+“お客様”」で検索するとヒットは約221,000件(参照)。
ざっくり見渡してみると、やはりみなさん国内系みたいね。
なんといっても、お客様の“声”だもんね。
声は「ボイス」だもんね。
気持ちはわかるよ。
でもこれはちょっとまずいね。
こんなとき、辞書はなんて言うかなと思って引いてみた。
ジーニアス英和辞典第3版より抜粋。
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voice
[名](複voices)1.(人の)声 2.[修飾語を伴って](…の質の)声、(…の状態[特徴]の)声 3.[通例one’s ~]声を出す力、話す能力 4.[通例the ~ of …](人の声を思わせる自然の)声、音;(理性・神などの)声、お告げ 5.《正式》(表明された)意見(opinion)、選択、希望 6.[or a ~]《正式》[…の点での]発言権;投票権(vote);影響力[in] 7.《正式》[通例the ~](主義などの)代弁者[するもの]、表明者 8..《正式》(感情・考えなどの)表明、表現 【以下略】
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うーむ。
「“お客様の声”を英語にすると”Voices”かな」と思った人のうち、「間違えてると恥ずかしいから念のため」と辞書を引いた人は、これを見て、「調べてよかった、合ってた」と思っちゃうだろうね。
じゃ、どこかで”Testimonials” を見かけたことがあって、「“お客様の声”って”Testimonials” だっけ?」と思って念のため辞書を引いてみると、どうだろうか。
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testimonial
[名]《正式》1.証明書;保証書 2.=~ letter 3.功労賞、記念品、賞金;謝恩会;感謝[表彰]状 4.(事実などの)公式発表 【以下略】
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「調べてよかった、間違ってた」ってなっちゃうだろうね。
この件について、英和辞書は助けてくれないどころか、かえって事をややこしくしちゃうというわけだ。
辞書をどうするかは、どなたか偉い人に追々考えてもらうとして、ここではお店などのサイトを作る人向けに、答えを並べておこう。
細かい話が適さない場面だろうからね。
『お客様の声』といっても
①「オススメ!」的なお褒めの言葉を集めたなら “Testimonials”
②「よかった」「悪かった」など、口コミとしてお客が自由にしてよい発言であれば “Reviews”
③ご意見・ご要望なら”Voices”
とりあえずこのくらいのざっくりした感じでも役に立つんじゃないかしら。
(※英語を勉強したい人はこんなので満足しちゃダメだよ)
「日本で使われてない」は理由になりません。
日本で使われている英語はアテにならないのです。
「見た目だけのデザインだから気にしないで」と言う人もいるけど、それを意味のある文字列として読む人の身にもなってね。
っていうか、よく知らない外国語は使わないのが安全。
カッコよくしようと思ってカッコ悪いの、イヤじゃない?
Testimonial って、ちょっとしたオススメのコメントでも使えるとは、恥ずかしながら知りませんでした。もうちょっとお堅いものかと思ってました。
ひとつお利口になったようです。感謝。
お役に立ったようでよかったです。
takさんでもご存じなかったなら、一般の人は聞いたことないはずですね。納得。
比較が為になりました。
FBでシェアしたいです。
お役に立ったなら何よりです。シェアはご自由にどうぞ。
非常に役に立ちました。
ありがとうございました!
ウェブサイト制作関係のみなさんの間で広まりつつあるようです。お役に立ててなによりです。
こんにちは
WordPress のプラグインを翻訳していて「Testimonial」に悩んでいたところでした。
とてもわかり易く解説いただきありがとうございます。
他にも英語や英語教育の話があるので読んでいきますね。
お役に立ててなによりです。この記事を書いてから4年以上が経ちますが、ちょうど昨日、ある日本のカタログで、TestimonialかCustomer recommendationの意味で「User’s voice」が使われているのを見かけたところでした。
こんにちは、はじめまして!
Web制作に従事しているものです。
とあるWordPressプラグインの機能の一つに「Testimonials」があり、アイコンと実際の機能から「ああ、ユーザーボイスか」と解釈しつつ、「しかし馴染みのない単語だな」とその場は終わっておりました。
そして今日、外国人もよく訪れるとあるサイトのリニューアル構成を考えている際に、安直に「推薦の声=Voices」というページ命名の後、ふと「念のため確認しよう」と思いたちこちらの記事にたどり着きました。
こういう言語感覚、とても重要だと思います。
本当に助かりました、ありがとうございます!!
お役に立ててなによりです。「馴染みのない単語だな」という学びのタネが、「念のため確認しよう」のおかげで実を結んだわけですね。Thanks for sharing 🙂