いつからか『杜撰』がひらがなで表記されるようになった。
まずは広辞苑で意味を確認。
ず-さん【杜撰】
(ズザンの訛。一説に、杜黙(ともく)の作った詩が多く律に合わなかったという故事から)①著作で、典拠などが不確かで、いい加減なこと。②物事の仕方がぞんざいで、手落ちが多いこと。
正法眼蔵(仏道)「いまの―の長老等、みだりに宗の称をもはらする」。「ーな計画」
最近のニュースだと、警察署が事件を検察庁へ送致していなかったり、自衛隊の訓練で死者が出たり、大学が貴重なデータをちゃんと管理できていなかったり。
もちろん原発のことも。
単に隠蔽が機能しなくなっただけ、という言い方もできるけど、日本はいつの間にか『杜撰』の多い国になっちゃったね。
それはともかく。
『杜撰』をひらがなで書かれると、私はちょっとひっかかっちゃう。
「記録なくずさん」は「記録なクズさん」、「かなりずさん」は「カナリズさん」と読めちゃって、誰だよ?と思っちゃう。
「ずさんさ」「ズサンサ」は知らない新語として読み進め、あとで、「あぁぁ、『杜撰さ』か!」ってなっちゃう。
こっちは外国暮らしコンプレックスで、自分が浦島になってないかと常にビクビクしてるんだから、あんまりいじめないで。
かな表記についておもしろい記事があった。
『平仮名表記、片仮名表記、漢字表記に見る書き手の意識』
うん、こだわりや他意の有無、センスや雰囲気、垣間見えるよね。
最近ハマっている字幕翻訳では字数制限があるので、どうしても漢字を多用することになるのだが、そのせいで不要な硬さが出てしまって
調整が難しいなと思うこともある。
『執筆の知識』というサイトでは、「やさしい」と「難しい」を対比させて「ひらがな書きが適当な語」の参考として紹介している(参照)。
「易しい」vs.「むずかしい」は不適当なわけね。
常用漢字との兼ね合いは基本としてあるのだけど、やっぱり決め手となるのは“感覚”なんだよなぁ。
やさしく、たのしく、やわらかく。
ゆるく、まあるく、ふんわりと。
そういうふうちょうなんだもんね。
むずかしいことやかたいことはぬきにして、なんとなくてきとうにやりましょう。
そりゃ『ずさん』にもなるわな。