ザ・アメリカ

12/25はコテコテのアメリカ流でChristmas Dinnerを楽しんだ。

M家での晩餐会にお招きいただいた。
湖畔のGated Mansion、いわゆるお屋敷だ。
Thanksgivingには空気で膨らむ巨大ターキーがいる場所に、今日はプレゼント満載のソリが置いてある。
二階から見下ろす等身大のサンタ、大きなツリー、真っ赤なバラ、アンティークらしいセントニコラスの人形たち、絵皿、おびただしい数の天使やサンタやトナカイの飾り物。

こうした飾りつけに負けることなく、壁や棚には普段どおりの肖像画や骨董品が並んでいる。
M家はケネディ一族の親戚にあたる由緒あるおうち。
不思議なご縁で3年前のThanksgivingに呼んでいただき、当主のTがその日のうちに私を”Adopt”してくださったので、以来何度かイベントごとにお邪魔している。

広い敷地、大きな家、自由に駆け回る犬や猫たち、仕事のできる夫、料理上手の妻、優秀な長男、美しい娘たち。
これぞPatriotというべきアメリカ愛、篤い信仰心、外国人や貧しい人々をも平等に扱う寛大な態度。
絵に描いたような恵まれたアメリカの家族。

そしてその笑顔の奥には常に不安と脆さ、闇を抱えている。
成功したアメリカ人に不可欠の要素。
これも含めて、やはり絵に描いたようなアメリカ像だと思う。

Tは私に会うと必ず「アメリカは好きか」と尋ねる。
家族が一斉に私に注目する。

私はM家に伺うとき、牙も毒も、うちに置いていく。
それがアメリカの家へ招かれ、お祝い事に参加するときのマナーだと思っている。
作法としては茶室に入る武士が刀を外すのに似ているが、意味としては正反対で、徹底的な不平等を自ら提示するのが目的だ。

そして私は皆の期待どおりの返答をする。
Tは満足そうにうなづいて、「そうだろう。外国から来た人はみんなこの国を気に入ってくれるんだ」と言う。
彼は今後もアメリカを嫌う人間に会うことは決してないだろう。

これがアメリカなのだ。
2001年9月11日、まだアメリカに住み始めてたった数週間の私が見た、あのアメリカとなんら変わっていない。

日本には『自分や身内にダメを出す』という愛情表現がある。
だから日本の悪口を書いた本は進んで読むし、外国人が感情をむき出しにして日本の文句を言う番組を好んで見る。
かなり特殊な性癖ではないかと思う。
少なくともアメリカにはそういう趣味はない。
すっかりアメリカ化した昨今の日本人にも、実はもうなじまないのではないかと思う。

イマドキの日本人に、ダメ出しは逆効果でしかない。
褒めて、持ち上げて、「この国は世界でもっとも素晴らしい」、「この国の人として生を受けたことに心から感謝する」という暗示をかけ続けなければ、現代日本人はすでに立っていられないのではないかと思う。

とにかく私はもうしばらくアメリカで暮らしていく。

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