常若

とこ-わか【常若】
いつもわかわかしいこと。いつまでも若いさま。

伊勢の神宮では20年に一度、式年遷宮が行われる(参照)。
来年にはいよいよ神様がお引越しをされ、今回の遷宮が完結する。

太古の昔から式年遷宮を行ってきた理由には諸説あり、建築様式の継承や政治的な目的とも言われるが、私はそのなかで特に『常若』という考え方が好きで、初めて聞いたときから強く印象に残っている。

神道でいう常若とは、常に新たでケガレ(気枯れ)ていないこと。
強い生命力を持ち、生き生きとしていること。
たとえ建物がまだ使える状態であっても、すべて取り壊し、新しく建てかえて、神様のいのちを活性化する。

水が高いところから低いところへ流れるように、生命力、エネルギーは若いものから老いたものへ流れていくような気がする。
神宮の鳥居には常に若い榊が付けてある。
自分より若いモノが周りにあれば自分はそこから力をもらい、老朽化したモノがあれば自分は力を奪われるのだと思う。
古いものから離れ、新しいものを取り入れる。
数年前に日本で流行った『断捨離』(参照)にも通ずるところがあると思う。

ただし、人の老化は年月とは関係がない。

先日、100歳を越えてなお精力的に活動し、自分より年齢的には若い人たちにエネルギーを配って歩いているような人に会った。
彼は常に好奇心を持ち、自分勝手で奔放で、強情で欲張りで野心家で、なんでもすぐに行動に移す。
そして素直で愛情深くて茶目っ気たっぷり。
数年先までスケジュールいっぱいという人気にも納得。

現状に満足せず、新しいものに挑戦しようとする姿勢。
アイディアを迷わず実現させていくフットワークの良さ。
過去の栄光やすでに獲得した名誉に安住せず、さっさと次の場所へ移動していく身軽さ。
この人は“ひとり式年遷宮”みたいだと思った。
彼の体の中、頭の中、心の中は、彼自身の手によって、きっと定期的にさっぱりと一新されるのだろう。
たとえまだ使える状態であっても、執着しないで、どんどん手放して、新しいものを取り入れる。
その潔さがとてもカッコいい。

いわゆるアンチエイジングにも長生きにも興味はないが、彼のような『常若』なら素敵だと思った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です