『揚輝荘、アジアに開いた窓:選ばれた留学生の館』を読んだ。
揚輝荘は松坂屋創業者・伊藤次郎左衞門祐民の別邸(参照)。
実家の近所にあるせいもあるが、うちは祖父と母が松坂屋出身のため、小さい頃からよくその名前を聞いていた。
どういう建物で、そこで何が行われてきたかについても、何度となく聞かされたような気がするが覚えていない。
なにかの話の流れで、母がこの本を出してきた。
ほぅ。
10年以上前から母の書棚にあったのは知っていたけど、読んでみようと思ったことはなかった。
今なら読めるかも。
母は「emiならすぐ読めちゃうわよ」と言うし、郷土の歴史を知るぐらいの軽い気持ちで借りてきた。
いやぁ。
なかなかの読みごたえ。
数日かけて、じっくりと読んだ。
もちろん歴史物語として読むこともできる。
母校や馴染みのある地名が随所に登場すると、郷土愛の薄い私でもさすがにちょっとソワソワする。
が、この本はもっと深いところで今の私とリンクした。
読みながら、ここ最近、考えていたいろいろなことが、あっちでもこっちでもつながってきたのだ。
点と点が線になって、線と線が絡まりあうのを感じた。
外国で学ぶということ。
学んだことを活かすということ。
学ぶ場を提供するということ。
お金の使い方。
社会に貢献するということ。
“グローバル人材”の本当の意味。
人と人とを結ぶ縁。
血縁でない方法で“家族”を作るということ。
そして、戦争のこと。
その頃の日本人のこと。
奇しくも今日は8月15日。
日本が戦争に負けたことをついに認めた日。
今度帰国したら、ぜひ揚輝荘を訪ねてみようと思う。
上坂冬子. (1998). 揚輝荘、アジアに開いた窓:選ばれた留学生の館. 講談社.