伝える

伝えたいのに伝わらないことは、なるべく伝わりやすいように整えてから伝える。

すぐには解決できない複雑な問題が発生する。
解があるとは限らない。
さまざまな考えの人が集まる。
意見が対立する。

そういう時はまず落ち着く。
よく観察する。
問題の本質がどこにあり、誰が今どういう状況・状態か見極める。
それをもとに、自分がどう動くと事態がよくなる可能性がもっとも高まるかを考える。
たいていの場合、大事な言葉が足りていなくて、余計な言葉が多すぎるので、その量を調整する。

これだけでうまくいくこともある。
が、ダメなときもある。
特に感情的な人が関与している場合は、あらゆる策が無効になりやすい。

そこでコミュニケーションの方法を慎重に考える。
いちばん伝えたいことだけをギュッと凝縮して用意し、相手の感情をなるべく揺さぶらないようにしながら、それを放つのに最適な時が来るのを待つ。

待つ、というのは正確ではないかもしれない。
確かに表面上はじっと待っているように見えるが、実際は相手を『聞ける状態に持って行く』という、積極的、能動的な作業であり、『聞けるようになったタイミングを即座に捕まえる』という瞬発力を要する行為だからね。

それでもどうしても伝わらないこともある。
それはもう、しょうがないよ。
自分の力量では伝わらない、とあきらめる。

伝わらない人同士は相性がよくない。
お互いのストレスになるだけ。
業務上、立場上、切るに切れない間柄なら割り切って付き合うより他にないが、だとしても愛情や友情は期待しないほうがいい。
あんまり頑張ると相手の迷惑になるしね。
ミイラ取りはほぼもれなくミイラになるしね。
伝えるのをやめる、というのも重要なオトナの選択。

たぶん伝えたいことのほとんどは、本当には伝わらない。
だからこそ伝えようとする。
伝えたいことが、伝えたい人に、伝わる。
それはとても貴重で、とてもうれしいこと。

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