執着

私はモノを持たない。
うちには要らないモノは置いていない。

スカイプでビデオ通話をすると、「部屋、なんにもないですね」と言われる。
カメラに映るのは証明写真みたいな真っ白の背景と私のみ。
プロファイリングの手がかりになりそうなものがまるでない。

車も、そう。
所有者が男か女か、言い当てられないと思う。
かばんの中身も、そう。
なんなら手ぶらでも出かけられる。
完全にオッサンやね。
あ、てことは予想される性別は男になるのか。

要るモノは買うけれど、要らないモノは買わない。
無料だからといってなんとなくもらったりしない。
それでも気づかないうちにモノは増える。
だから定期点検をして、使わなくなったモノは手放す。
私が常に変化している以上、要るモノも変わっていくのだから、入れ替わりはあってしかるべき。
いちおう取っておいたりしない。
手放したモノのことはすぐに忘れる。
来るモノはしばしば拒み、去るモノは追わない。

ぬいぐるみを集めたり、小物を飾ったりする趣味がない。
見た目のかわいらしさより、ラクに掃除ができる部屋を好む。
アートより実用。
でもここまでモノを削れるのは、私の執着心のなさゆえだろうと思う。

生に対する執着が強い人は、モノを捨てられない傾向にあるという。
なるほど、心当たりがある。

私には人やモノに対する執着がない。
要求も欲求もこだわりもない。
自分の過去にも現在にも未来にも、あんまり興味がない。
人生がいつ終わっても、ずっと続いても、何が起きても、起きなくても、別にかまわない。

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