米国大学院学生会

アメリカ留学を考えている人は、ぜひ米国大学院学生会を利用してほしい。

英語教育に関わっているというと、“すばらしき英語の世界”の伝道師と間違えられやすいが、そんなつもりは毛頭ない。

私は日本国民全員が英語をやらなきゃいけないとは、ぜんぜん思っていない。
「自分に英語は必要ない」と判断し、グローバルだの国際化だのと慌てる世間に左右されることなく、英語に翻弄されない姿勢を貫ける人を私はむしろ高く評価する。
日本では英語ができなくても困らないし、だんだんそうは言ってられなくなっているとしても、まだまだ英語はプラスアルファでしかない。
そうである以上、皆がみんな英語を十分に使えるようにはならない。
必要がないのに身につくほど言語習得は甘くない。

しかし日本には英語を本当に必要とする人もいる。
そういう人向けに適切な環境があまりにも少ない。
学校での英語教育ではいまや基礎づくりさえ怪しい。
巷には旅行や友達作りが目的の『趣味の英会話教室』や、試験のための『テクニック教室』はうんざりするほどあるのに、それ以上の、またはそれ以外の英語を学びたい人にとっては受け皿がほとんどない。
英語を身につけなければならない具体的な事情や、強い意思がある人ほど行き場がないのだ。
それが気の毒で、なんとかしたいと思っている。

この立場は留学についてもまったく同じ。
誰でも彼でも外国に行けばいいというものではないし、知識の量や視野の広さは留学経験と関係しない。
留学という名目でお金や時間を捨てるだけならまだしも、その後の人生を狂わせてしまう人さえいる。
留学が要らない人や国外に出るべきでない人を、やたらめったら外国に送り込んではいけない。

しかし純粋な向上心から留学を希望し、留学で得た知識や経験を還元できる素質を持った人もいる。
ところが、そういう人のために情報をまともに提供できる場はないに等しい。
巷にあふれる情報のほとんどは、外国暮らしという記録を得るだけの『趣味の留学』だし、それっぽい名前を冠した機関に出向いても、図書館程度の広く浅い情報を並べているだけか、不透明で多額の料金を請求する斡旋業者のどちらか。
信頼できる情報にたどり着くのに一苦労させられる。
「そこを自力で乗り越えられないような人は留学も成功しない」というのも部分的には真実なのだけど、もうちょっと便利で親切な組織があってもいいじゃないの。

今年の初め、ひょんなことから米国大学院学生会のことを知った。
学位留学希望者を直接的に支援するというその活動に感銘を受け、大いに賛同し、私もなにかお手伝いしたくて、メンターのボランティアに応募してみた。
このたび無事に審査が通りメンターとして登録が完了したので、縁あってメンティー(サポート対象者)となる人が現れるのを待つという、新しい楽しみができた。

米国大学院学生会は立ち上げから運営まで、すべて有名大学の理系の学生たちが行っていることもあり、スタッフも顧問もすごい人ばっかりで、文系には近づきにくいところがあるかもしれない。
私の役目は文系向けにそのハードルを下げることじゃないかと、勝手に思っている。
「コイツでもできてるなら自分は大丈夫だな」と、安心したり自信を持ったりしてもらえたらいいと思う。
留学生活およびその準備に理系文系の違いはあんまりないしね。

英語も留学も「やらないと損ですよ!」なんて世間を煽って、軽薄な金儲けをしてる場合じゃない。
英語も留学も、本筋は教育である。
「よく考えたら自分には要らないや」と“消費者”が気づき始め、商売が自滅していくのは一向に構わないが、教育が巻き添えを食らうわけにはいかない。

きちんと情報を与え、導き、見守る。
自立の時がきたらポンと背中を押して送り出す。
そこで育った人がまた別の人を育てる。
そういうシステムがもともと日本にはあったはずなのだ。
海を越えた人たちは異国の地で、こういう母国の“落とし物”をよく拾う。

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