『入試テロ』という見方をしている人はまだ少ないらしい。
ここ数日ちょっとバタバタしていたせいで、日本のニュースをちゃんと読んでいなかった。
見出しを雑に見た程度。
それでも、あるいはそのおかげで、「おぅ、とうとう入試テロが起きたか」とすんなり理解できた。
「テロ」という表現に対して冗談ぽく受け止められたりと、日本からの反応がなんだかおかしいので、新聞サイトやYouTube上のニュース番組抜粋を見てみた。
おやまぁ。
「カンニング」だの「愉快犯」だの。
試しに『入試テロ』『受験テロ』でグーグル検索してみたが、現時点でこれをきちんと指摘しているのはたった2つほど。
それも個人のブログ。(参照1)(参照2)
おいおーい。
またしてもツッコミ不在の大掛かりな集団ボケですか。
びっくりするわ。
どう考えてもカンニングなわけがない。
入試問題を流出させた人は、試験時間中に回答を受け取るつもりなんて初めからないし、仮になんらかの方法で返信を得たところで、それを解答用紙に書き写すなんてバカなことはしない。
百歩譲って誰かに頼るとしても質問サイトはないでしょう。
そもそも一流大学を受験できるような受験生だよ?
あの程度の英訳なら自力でできる。
悪事を働いた人間に敬意を払う必要はないが、カンニング呼ばわりはいくらなんでも失礼じゃないか。
愉快犯なんてのも、どうかと思うよ。
大学やマスコミを振り回すという意味で、愉快犯的目的は達成されているけど、それはたまたま。
振り回された側の勝手な被害妄想に近い。
予想以上の慌てっぷりで犯人を驚かせたぐらいじゃないかと思う。
現に振り回されているのは先生や親から上の世代だけで、若い試験監督者は「やろうと思えばできる」と証言しているし、受験生世代はそんなに驚いてないじゃん。
「我々は完璧な完成形である」という態度の権威や制度に、「それはどうかな」と挑戦状をたたきつける。
作戦はいかにも巧妙に見えて、実は思いのほか単純。
だからこそ当事者は意表を突かれる。
寝耳に水。青天の霹靂。
パニック状態のマスコミが誤報を伝え、急ごしらえの対策に多額の資金が投入される。
“権威”の側が一方的な負担を強いられる不毛ないたちごっこの始まり。
善良な一般市民の間に相互不信や不安がたちこめ、警戒心が過剰に高まる。
不穏な空気、不便、ストレスなどの精神的な負担。
このサイクルが完成すればテロリストの勝ち。
テロリストが手を休めている間も対策を休むことはできない。
慌てふためく“権威”とは対照的に、冷静にこの状況を見ている人もいる。
彼らは権威が攻撃される理由も制度の脆弱性も知っていた。
いつか誰かがそんなことをしてもおかしくはないと予想できていた。
しかし、たとえそれを進言したところで、自己の力を過信している“権威”は聞く耳を持たない。
だから、ただの思い過ごしになればいいと思っていた。
そして残念ながらそれは実行された。
…ってことでどうでしょう。
日本の皆さーん、日本でテロが起きましたよ?