入試問題漏洩に絡んで、自動翻訳が一部で話題になっている。
今回の事件に関わった質問サイトは私も回答に参加したりしているのだが、ここ数日は覗いていなかった。
しかし、もし見ていたとしてもまったく気に留めなかっただろう。
この手の「訳してください」はひっきりなしに投稿されるし、それに対して自動翻訳をコピー&ペーストした回答がつき、さらにはそれがベストアンサーとして選ばれることも日常茶飯事なのだ。
念のため言っておくが、現時点での自動翻訳、特に無料サイトの類は、発展途上にも程遠いほどの出来でしかない。
私は日本語⇔英語間のことしかわからないが、他の言語でも大差はないだろうと思う。
今後、これをまともに使えるように改良することができるのか、開発をあきらめて撤廃する方が早いのか。
アメリカで英語教育の研究をしているというと、「翻訳機の開発をしたら?」と儲け話を持ってくる人がいるが、そういう人は第二言語をやったことがないか、教育の意味を知らない人だ。
自動翻訳で作られた文は直感的に「ひどい」とわかる。
複数の言語に堪能である必要はない。
ちょっとかじった程度でもちゃんとわかる。
それぐらいわかりやすくひどいのだ。
恐ろしいのは、ぱっと見が“文”になっているせいで、和英辞典を駆使して単語の直訳を並べたときの「これで通じるのかなぁ」という不安がかき消されてしまうこと。
“できあがり”の体をしているというだけで、「大丈夫だろう」となんとなく安心してしまう。
実際の中身は単語の直訳以下なのだが、要するに、見た目にだまされてしまうのだ。
質問サイトでは自動翻訳が横行しているため、「自動翻訳を使わないで」という条件をつける質問者もいるが、それは質問者自身が自動翻訳を見分けられない可能性を示唆している。
自動翻訳と判断できるなら、そんな回答は無視すれば済む。
それができないから「しないで」と頼むのだろう。
英語教育に関わる者として、この実態はいかにも情けなく、やる気を削がれる要素だらけだが、あえて逆に考えると、こんなことも、これからの英語教育に組み入れる価値があるかもしれないと思う。
たとえばこんなかんじ。
【問題】
次の2つの文はGoogle翻訳を使って作った意味不明な文である。
日本語・英語の両方をよく読んで、その大意をつかみ、それぞれ意味の通る日本語と英語に直しなさい。
1. 日本語
問題は海外で切っても切れない旅行するのは楽しいことがあります。
たとえば、欠航便、天候や海外に滞在延長した自然災害はとても珍しいことではありません。
いずれの場合も加えて、外国語の能力をフルに活用しながら、状況、知識や情報をエリアについて冷静に重要で、彼の前に問題を解決しようとしているの態度である。
2. 英語
Problems should be fun to travel abroad is inseparable. For example, a canceled flight, weather and natural disasters that have extended stay abroad is not so uncommon. In any case important to calm the situation, knowledge and information about the area, while making full use of foreign language proficiency in addition, is the attitude of trying to solve the problem before him.