アマゾンプライムという会員特典の日米比較。
外国で評判だからといって日本にそのまま持ち込んでも、うまくなじまないものはたくさんある。
アマゾンプライムもその一つかなと思う。
アメリカでは重宝でも日本ではあんまり価値がない。
まずは単純にその概要を比較してみる。
【日本版アマゾンプライム】 参照
年会費:¥3,900
特典:対象商品のお急ぎ便や日時指定便が無料
【アメリカ版Amazon Prime】 参照
年会費:$79
特典:対象商品のTwo-Day shipping (2日後お届け)無料
$3.99でOne-Dayも可能
映画やテレビ番組などインスタントビデオの視聴無料
アメリカ版のインスタントビデオはつい先日スタートしたばかり。
今後はプライムをより充実させて会員増を狙うつもりだろうが、今のところプライムの最大のウリは送料免除と配送のスピード。
そこで非プライムの通常会員が負担する送料を比較してみると、日本のアマゾンは以前¥1500以上という条件がついていたが、去年ぐらいから送料無料化を導入(参照)。
アメリカAmazonはあいかわらず「$25以上お買い上げにつき送料無料」(参照)。
たとえば$20ぐらいの商品を1つずつ買う人は、毎回$3.99とかの送料がかかってくる。
この時点ですでにアメリカ版プライムの“送料無料”という会員特典の大きさがわかる。
もともと送料無料の日本のアマゾンでは特典でもなんでもない。
というわけで日本のアマゾンプライムのウリはその配送スピードのみとなるのだが、これも弱いと思う。
お急ぎ便は土日を含む3日以内に届く。
実際、土曜日の朝に注文した本が日曜の昼前に届いたから、地域差は多少あるだろうけど、かなりの“お急ぎ”っぷりだと思う。
しかし、狭いニッポンの優れた郵便・宅配事情では、とりたてて“お急ぎ”にしなくったって結構早く届く。
2-3日早く届いて助かることがないわけじゃないけど、後で述べるアメリカの事情に比べるとその差は小さい。
お急ぎ便は通常会員なら一回¥350で付けられるから、年間12回以上お急がないと年会費¥3,900の元が取れない。
きっちりした日本人にはむしろ日時指定の方がありがたいかな。
でもこれも配送業者とやりとりできるよねぇ。
ちなみにお急ぎ便にはさらに早い『当日お急ぎ便』というのがあるが、これはプライム特典には含まれていない。
個人的には通販を利用しておきながら当日に届けてほしいなんて、いくらなんでもクレイジーじゃないかと思う。
消費者の質を低下させるよ。
でもまぁどうせやるならこのくらいの“超お急ぎ”じゃないと、有料会員の特典とはいえないかもね。
一方、でっかい+のんびりサービスの国アメリカでは、配送といえばまぁ1週間や10日はかかるもの。
「だいたいこのへんに届く」以上の細かな見積もりは不可能。
だからこの国でTwo-Dayで確実に届くのは感覚として相当早い。
Two-Dayは標準では$9.99かかるサービスなので、プライム年会費$79と天秤にかけるのは、年8回×5-7日以上の時間短縮ということになる。
日本のよりかなりオトク感があると思う。
と、アメリカ版プライムをひいき目に見てしまうのは、私がこのサービスを無料で使わせてもらっているせいである。
Amazon Studentという学生用のサービスに登録すると、初年度年会費無料でプライムが使えるのだ。
日本版もアメリカ版も数ヶ月までの無料体験はあるけど、1年間無料はアメリカ版の学生用のみ。
アマゾンに限らず、日本の企業はこういうことをやらないよね。
国の広さ、配送、ネット環境、買物の仕方など、日本とアメリカでは事情が違いすぎる。
日本のアマゾンで有料会員の価値が低く感じられるのは、標準でも十分すぎるほどサービスが優秀だからだろう。
日本式サービスに慣れた客からお金を取って差別化を図るには、会員限定の付加サービスを別に設けるしかない。
インスタントビデオは制度的にも市場的にも日本向きじゃなさそうなので、なにか日本独自の特別な企画をしないとね。
ついでだけどアメリカで成功したKindleも、日本ではイマイチ良さが発揮されないだろうな。
権利関係さえクリアされれば、スマートフォンで本が快適に読めるようになったりするだろうし。
なにより日本の本はもともと軽くて小さいからね。
舶来モノも実用性を問われる時代になったのだ。
当然と言えば当然。