玉瑕

弱点をわざと見えるところに開いておいとく、という発想。

『玉に瑕』という言葉がある。
本来は「完璧なものは得難い」という意味だが、一般には「それさえなければいいのに惜しいなぁ」というような解釈で使われている。

しかし、本をただせば説林訓には、「余計なことをするな」という意味で紹介されているという。
「玉に瑕があったらそのままにしておけ。瑕を取ろうとして下手なことをすると、玉を壊してしまいかねない」という戒めだそうだ(参照1 参照2)。

「完全なものなどない」「完璧な人などいない」と言いつつ、どうも“瑕のない玉”を目指してしまう人が多い。
だから瑕を見つけたら消したり隠したりしたくなる。
頭では幻想とわかっていても、気持ちがついていかないのだろう。

で、あれば。
いっそ弱点をおおっぴらに開いて、真っ先に公表してみたらどうだろう。
「こんな瑕があります」と、いちばん人目につくところに置いておいたらどうだろう。
弱点の全部を集約して、ひとつだけ、絶対に修復できない瑕をがっつりつけておく。
瑕をはっきりと認知するのだ。

そうして、残りを“玉”に仕上げていく。
もう他に瑕ができないように注意しながら、玉の部分を大きくすることに専念する。
全体に占める瑕の割合は決してゼロにはならないけど、玉が大きくなれば瑕は相対的に小さくなっていく。

瑕を前提として、人やものの良さを認め合う。
「はじめまして。あなたの瑕はなんですか?」ってね。
それから本題に入れば、そんなに嫌なことって起きないんじゃないかな。

時代とともに意味を変化させてきた『玉に瑕』。
弱点をさらけ出す潔さと、それを出発点として大成すべく努力することを褒めて、『玉に瑕』と表現するようになったらいいと思う。

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