欧米文化で、こんなに日本に根付かない行事も珍しい。
アメリカでかなり重要とされているサンクスギビングは、「年末の行事が足りている」という国内事情により、今後も輸入される可能性はないだろうと思う。
9月ぐらいだったらよかったのにね。
クリスマスはイブにイチャイチャして、バレンタインは女子に告白チャンスが巡ってくるという、和風アレンジはかわいくて好き。
『ミシン』や『ワイシャツ』に似ていると思う。
近年、秋の終わりの仮装の日が入ったらしいが、最近の輸入品は下調べがきちんとされちゃってて、つまらない。
なんでもそうだけど、本場のまま正確に持ってこようとしすぎると、風土との不一致がかえって際立って、なんというか、サブイことになる。
バレンタインを過ぎると、しばらくこれといったイベントがない。
年度替りで忙しいから凝ったことはできないし、セントパトリックでは意味がわからないし、イースターは宗教が絡むし。
とはいえ韓流ブラック・デーは嫌だろうし。
4月1日と立地条件ばっちりのエイプリル・フールならちょうどいい。
しっかし、これ、紹介されてからずいぶん経つのに、日本ではちっともうまくいかない。
おもしろいのは、仕掛ける側にイタズラ心があっても、受け手に準備がなくて、エイプリル・フールが成立しないこと。
スベるどころか真面目に説教されたりするようだ。
事前に計画をしっかり練って、この日を待ちに待ってわくわくしながら発表して、で、叱られるって。
“嘘をついてもいい日”という、“年に一度の無礼講”的に伝わっちゃったから、かえって定着しなかったのかな。
“四月バカ”っていうネーミングもまずかったかも。
これは和風アレンジが裏目に出た例だね。
一度“四月バカ”を廃止して、アレンジ抜きの新バージョンを再インストールするしかないかなぁ。
それにしても、あの取り入れ上手の日本人がてこずるなんて、エイプリル・フールはネタの宝庫に違いない。
行事・宗教・笑いのツボ・恥・嘘などをテーマに、文化論がいくらでも書けそうだ。