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読む、書く、つくる、について。

私にとって読むこととは、ゴーグルをつけて、海底に沈められるようなもの。
口も耳も鼻も閉じ、真っ暗闇に目だけをカッと見開いて、あらゆる角度から全身にかかる圧の中、もがきながら光を求めてさまよう、本当に息苦しい作業。

書くというのは、そうしてたどり着いた光の下で行う作業。
まだ口を開くことは許されないが、深海でもがいたおかげで筋肉がついたのか、手足が自由に動かせるので、どうにかメッセージを発信することができる。
なにより明るい場所にいられるということが、気持ちを強く支える。

そしてつくるというのは、水面から顔を出し、呼吸をしにおいを嗅ぎ音を聞き、人と出会い言葉を交わして、朝が昼になり夜がまた朝になるのを感じながら、海中で見てきたことを陸へと揚げる作業だと思う。
大変なことも時にはあるけど、やっぱり楽しい方が大きい。

ところがこの陸揚げ作業は、途中で必ず欠品が見つかる。
海の底から上昇する過程で、見落としたか拾いそびれたか、失くしたかしている場合もあるが、それまでまったく頭になかったものが、陸に来て初めて必要だと気づくこともある。

となれば仕方がない。
また探しに行かなくては。

ゴーグルを新調して、お世話になったみなさんに別れの挨拶をしたら、口も耳も鼻も閉じ、ひとり、また水の奥へ戻る。

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