英語で歌を歌いたい人を対象に発音レッスンを始めた。
今回の生徒さんは、友人で歌うたいのYちゃん。
レッスン内容は以下のとおり。
まず現状を把握するため、アカペラで歌を録って、音源と歌詞をメールなどで送ってもらう。
私はレッスン日までに、発音のクセや歌いにくそうなところを拾い出して、ポイントをまとめておく。
レッスン当日は生で歌ってもらい、ポイントを確認した後、口の動かし方や舌の位置を指導。
自己流で出している音と出したい音との違いを、音声学に基づいてわかりやすく分解して伝える。
発音に特化しているので、文法・意味の解説は一切しない。
歌唱指導はできないしやらないのだが、余分な母音を削ることでテンポが変わって、歌い方が軽くなることがある。
日本人が英語を発音するとき、耳で聞いただけでは再現できない音があるのは当たり前。
シャワーの比喩を使って商売をする人もいるけど、繰り返し聴くだけで完成するほど簡単ではない。
また、本人が発音できるからといって、発音の仕方を教えられるとは限らない。
だからネイティブの発音指導や、ボイストレーナーが片手間にやっているようなレッスンでは、かゆいところになかなか手が届かない。
逆に音声学をかじった先生なら、たとえ本人の発音がイマイチでも、生徒に音を出させることはできるはず。
実際、“私自身には発音できないけれど、出し方を知っている”という音は多い。
まるで生徒の口の中に手を突っ込むようにして、体に覚えさせるレッスンをしてあげれば、プロの歌手はもちろんのこと、カラオケ好きのアマチュアも、もっと自信を持って歌えるようになるかもしれない。
なんでそういう授業がないのかな。
英語をしゃべれるようにしてあげる方法は、世界中を探してもたぶんないと思うけど、1曲1曲を“それっぽく”歌えるようにするぐらいなら、1時間半~2時間ぐらいのレッスンですぐできる。
Yちゃんは歌い手さんだけあって、指摘したポイントのほとんどをあっという間に修正することができていた。
残った根強いクセはその場では直せないので、コツを細かくメモしてもらい、あとは自主トレで繰り返し練習。
「目からウロコ」と喜んでもらえたので、私もうれしい。