“文化の違い”じゃあ済まされないこともあるのだよ。
大学から全学生あてに、豚インフルエンザについての注意勧告メールが届いた。
数字的なこととか地理的なこととか、大学の医療センターでの対応などに続いて、“うつさない・かからないために”という注意事項が箇条書きで並べられている。
・病気の人になるべく近づかない
自分が病気の時は他の人と距離を置いて、 うつさないようにしましょう。
・かかってしまったら病院へ
他の人にうつす可能性が低くなります。
・咳やくしゃみをするときはティッシュで口と鼻を覆う
周りの人にうつさないためです。
ティッシュがないときは、うつむいてひじを曲げその中で咳やくしゃみをしましょう。
・手をよく洗う
手洗いはバイ菌からあなたの身を守ります。
お湯と石けんで20秒、または 殺菌作用のあるローションをつけましょう。
・目・鼻・口に触らないようにする
バイ菌のついた手で目・鼻・口を触ると菌がうつりやすいです。
私の知る限り、この国ではインフルエンザはよくある病気。
うちのクラスでも先月、一度に3人ぐらいが「たぶんインフルエンザ」と言って授業を休んだ。
保険とか費用とか感染とか理由は諸々あるだろうが、病院に行かず、自然治癒で、しかも完治する前に復帰する人が多い。
日本での報道や民間レベルの対策を見ると、ちょっと過敏かなぁと思う。
一方、アメリカ人の衛生に対するゆるゆるっぷりは、いくらなんでもまずいだろ、と思う。
K州にいたころ、幼稚園でボランティアをしていて、子どもたちが手を洗わないのが気になった。
外で遊んだ後もそのまま教室に入ってくる。
おやつタイムになったら、教室の一角にある箱の前に整列して、ひとりずつ何かニョロっともらって手をこすっていた。
聞くと殺菌ジェルだという。
長距離バスなど流水が使えない場所ならともかく、幼稚園で手洗いを教えないというのはショッキングだった。
レストランでおてふきは出てこないし、トイレの後、手を洗わない人もよく見る。
うがいの効果については、ほぼ知られていないのではないかと思う。
今回のメールでも触れられていない。
マスクもしない。
私は日本からイソジンと立体マスクを持ってきているが、マスクはもっぱら帰国時の機内用で、さすがにマスクを着けて街を歩くことはできない。
細菌や感染ルートの研究も新薬の開発も結構だが、一般市民の“常識的な”知識レベルを上げていかないと、「たぶんインフルエンザ」などというお気楽な姿勢に歯止めがかからない。
以前、風邪をひいた友人にオレンジをあげて、「ビタミンをたっぷり摂ってね」と言ったら、「emiの専門は栄養学なの?」と聞かれて驚いたこともあった。
日本文化の優れたところはたくさんある。
大げさにただ騒いでいると思われたらもったいない。
もっと冷静に理論的に、世界に発信していくべきだと思う。