「コワモテだけど本当はいい人」などと言いますが。
役者さんに限らず、悪役ができるという時点で、すでにいい人である可能性は高いのではないかと思う。
だから「コワモテ“だけど”」は違うんじゃないかな。
怖い先生や厳しい上司、親などの役目は、大変なエネルギーを消耗する。
やりたくてやっているわけじゃなくて、やらなくてはいけないから引き受けているのだとしたら、これはかなり頭の下がることだ。
コミュニケーションでよく話題になるFace(メンツ)にはポジとネガの2種類がある。
名誉とか長所とかを押し出してPositive Faceを保つ方法と、弱点とか短所とかに触れないようにしてNegative Faceを保つ方法がある。
「私っていいでしょ」な面を営業して回るのは、アメリカ教的でどうしても苦手なのだが、まぁ仕方がない。
好かれることに一生懸命で嫌われることを極端に恐れている人に会うと、なんというか、モヤモヤした残念な気持ちになるが、まぁ仕方がない。
それとは対照的に、自らPositive Faceをつぶして悪役を演るというのは、プライドが高かったり負けん気が強かったりだと、なかなかできないのだろうと思う。
ますます頭が下がる。
『心を鬼にして』とはよく言ったものだ。
コワモテの鬼を“演る”ってことだもんねぇ。