バツイチ

“バツイチ願望”とかいう不思議な望みがあったら。

つまり“バツイチ”を結果ではなく目標にしてみたら、ややこしくなるのか、さっぱりするのか、と考えた。

奇跡や運命や宿命とは別に、「活動」と呼ばれるようになったことで、結婚が新しい性質を持つようになった。
まるでキャリアを積むように、資格を取得するように、結婚も“一度は経験しておくべきこと”の仲間入りをしたのかもしれない。

メディアの影響をモロに受けて、“バツイチ”からネガティブな印象は消えた。
むしろ“マルイチ”よりおしゃれかも。
とにかく“マルゼロ”はなんだかヤバい。
じゃあバツになってもいいから、とりあえずマルを取っとかなくちゃ。

親の決めた人と結婚するのが当たり前だった時代が去り、結婚前の社会勉強として恋愛が台頭してきたと思ったら、いつの間にか結婚は経験のひとつになってしまった。
変わらないのはセケンテイという無敵の巨大怪獣が猛威をふるっているという事実だけか。

たとえば新卒の中には将来の転職を前提に、“ステップアップの一段目”として就職先を選ぶ人もいる。
そういえば学校というところへ行く人は、入学する前から卒業後の進路を見据えている。

こうした流れの先には期間限定婚もあるかもしれない。
「X年後にはふたりともバツイチです」とあらかじめ宣言して結婚するというわけだ。
永遠の愛は名実ともに誓えないけれど、ロマンチックな雰囲気を味わうことはできる。

意味はない。
でもメリットはいくつかある。

まず猛獣セケンテイを黙らせることができる。
そして結婚式は「マル獲得おめでとう」という現実的なお祝いの場になる。
バツを予告しておくことで、“その時”には周囲にショックを与えなくて済む。
ゴールが見えていれば意外と仲良く暮らせるかも。
少なくとも正直で潔いではないか。

繰り返すが意味はない。
罪のない人を巻き込まないための対策。

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