指示

予想を上回る指示の伝わってなさにがっくり。

去年実習を受け持っていたとき前任のSから、「どんなに詳しく説明してもしすぎることはないからね。つい“院生だから”、“先生だから”と思いがちだけど、学生ってのは驚くほど理解してくれない。早めに指示を出し何度も言って確認するように」と言われていた。
それを踏まえて慎重に準備し丁寧に説明しても、全員に指示がぴしっと行き届くことはほとんどなかった。

SLAのクラスで初めての課題らしい課題。
指示内容は以下のとおり。

『ここまでの授業で出てきた重要なSLA用語やコンセプトの中からひとつを選び、図や絵を中心に自分なりの説明をしなさい。インターネットなどで既存の図を参考にするのはよいが、提出する課題はオリジナルに限る。』

この課題については学期のド頭から予告し、サンプルを見せながら、「後々こういうのを描いてもらうから、どの用語を使うか考えておいてね」と言っておいた。
授業中もたびたび、「たとえばこの用語も課題の図に使えるよ」とほのめかしたり。

わかったような顔してわかっていなそうなので、締切を2段階に分けた。
第1弾はトピック選び。
それも締切2週間前にガイドラインを作って配布し説明。
翌週さらに説明を繰り返し、クラスで具体例を出しあった。
「締切まで待つことはないんだよ。早め早めにね」と、教室でもBlackboardでもけしかける。

なんでもそうだけど、内容がよくわかっている学生ほどトピックを的確に選んでとっとと提出してくる。
早く取りかかる→時間がたっぷりあるから、結果、いいものができる。

そういう先頭集団が過ぎると次に、“よくわかんないから質問してみようグループ”が動きだす。
理解度はいまいちだが何度かやりとりするうちに、なんとかそれなりに落ち着く。
ちょっとズレていることもあるが、まぁそのへんは大目に見る。

締切当日まで音沙汰がない学生の中には、一発OKというのもいるが、“さっぱりわかんねーよ組”もがっつり混ざっている。
あああ。

どのくらい指示が伝わっていないかというと、まだ授業で出てきていないところを先取っていたり、何が“用語やコンセプト”に当たるのかわからなかったり、SLAと関係がなかったり、3つも4つも選んでいたり、“図や絵”がどんなものかわからなかったり、インターネットや本から取ってきたものを「これにします」と出してきたり。

指示中のあらゆる要素の逆を行く。
わざとじゃないかと思うよ。
そんなに難しいこと言ってないつもりだけど、理解されないってことはこちらの説明が悪いんでしょう。

学生の意志を尊重したかったので、私から具体例を出すことは控えていたのだが、もうこうなったら仕方ない。
これ以上噛み砕きようがないほど噛み砕いてみた。
トピックの選択肢もリストにして発表した。

「テスト後に学生から文句を言われるのを防ぐために、作っておいた方がいい」とK教授に言われていた中間テスト対策のStudy Guide。
たとえ授業を聞いていなくても、誰でも満点が取れるという虎の巻だ。
「中学生じゃあるまいし。アンチョコがほしければ自分たちで作れば?」と、与えないつもりでいたけど、どうやらこれは要りそうな気配だぞ。
ていうか与えてちょうどなのかなぁ。
極端な話、試験問題を漏洩しても、全員が高得点を挙げるわけじゃなさそうだ。

うーむ。悩ましい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。