Laundry

洗濯場でのご近所づきあい。

事情がわからないと意味がさっぱりわからないと思われる、伝わりにくいアメリカの賃貸アパートの洗濯風景。

うちのアパートは、たぶん建物一棟おきぐらいの間隔で洗濯場が配置されている。
私の部屋からは、階段を3段ほど上がって通路を渡り、さらに3段ほど上がるだけ。
建物内の移動で徒歩1分という好立地。

洗濯機と乾燥機がそれぞれ2台ずつ置いてある。
私は洗濯時間が他の人とズレているのか、誰にも会わないことの方が多いのだが、たまに近くの建物に住んでいる人と会うことがある。

いつだかは私が洗濯物を取りに行ったら、乾燥機が空くのを待っている女性がいた。
この乾燥機には時間設定がなく、$1.25分全部を使うと乾きすぎになってしまう。
というわけでいつものように途中で止めて、残り時間をその女性に差し上げた。

ほかほかの洗濯物を抱えて部屋に戻り、ベッドの上にばさっと落としてたたんでいたら、靴下が片っぽ足りない。
乾燥機を女性に明け渡すときよく見なかったからな。

まぁ失くなってもたいしたことじゃないけど、相手ももらってもしょうがないだろうから、洗濯場に戻り乾燥機の上に、“白い靴下1コ、あったら置いといてください”とメモを残してきた。
しばらく経って見に行ったら、靴下がきちんとたたんで置いてあった。

また別のときにはおじいちゃんがいた。
私は仕上がった洗濯物の山を抱えて、もう部屋に戻ろうとしていたのだけど、「学生さんかい?」と呼び止められた。

英語教育を勉強していると言うと、「ニューヨーク州の組合はなかなかしっかりしてるから、将来は安心だね」とおっしゃるので、いえいえ、私はニューヨーク州には就職しませんよ、と言うと、「じゃあどこへ?カリフォルニアの辺りはアジア系が多いから、やっぱりそっちかい?」とさらに誤解が。
いえいえ、私は母国へ帰ります、というと、「えええ?アメリカ人じゃないのかい?」と。

考えてみたらなぜかこの洗濯場メンバーは、私のことを「英語がじょうずだね」と言ってくれる。
他では誰にも言われないのにねぇ。

それからおじいちゃんのスペイン留学時代の話や、恩師の話、宇宙の話、家族の話、と、私は洗濯物を顔の高さまで積み上げたまま、しばらくお話相手になってみた。
おじいちゃんは只者じゃなかった。

今日はおじさんが洗濯中だった。
「今日はあったかいねぇ」で始まり、先日のストームの話題へ。
お決まりの「君はどこの出身?」から、「へぇ。英語がじょうずだからアメリカ育ちかと思ったよ」と、洗濯場だけで流行っているらしい褒め言葉をいただく。
おじさんはなぜか少し日本語を知っていて、「私ハ日本語ヲ話セマセン」と言われた。
「嘘じゃないですか」と言うと思いのほかウケた。

洗濯場の利用時間は8:30pmまで。
ギリギリだけど帰国前日なので、どうしても洗濯しておかなきゃと思って、と言うと、「うちの子は帰省するとき洗濯物を持ってきてたよ」。
てっきり息子さんの話かと思ったら、「イヤ、娘だよ。君より年上だけど」。
…実年齢は私の方が余裕で上です。
すっぴんだったからねぇ。

誤解だらけの洗濯場。
おもしろい。

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