退職

Rの最後の勤務日。

教育学部のSecretaryの長として、学生も教授も他のスタッフもどっぷり頼りにしているR。

この大学に来て30年余り、Secretaryとしては40年を越える大ベテラン。
事務能力はもちろんのこと、いつも笑顔で、ときどきグチって、誰にでも親切で温かくて、まさにみんなのお母さん的存在。

私はお給料を取りに行くのをよく忘れるので、「取りに来る?送ろうか?要らないならもらっちゃうわよ?」と、ほぼ毎月お手数をかけていた。

Rが引退することをつい先週はじめて聞き、その足でオフィスを訪ねた。
私はキャンパスに行く機会があまりないので、「念のため」とお別れの挨拶をした。

その後、新たにひとつ手続きが発生したので、最終日の今日、時間を作ってRのオフィスへ。
ま、手続き自体は急ぎじゃないし、他のSecretaryでもできるんだけどさ。
半分口実。

Rはいつものようにデスクにいた。
プレゼントらしい花などに囲まれ、挨拶に来たと思われる男性と話していた。

終わるのを外で待ち、入れ替わりに私が入るとRは目頭をおさえていた。
でもすぐにプロの顔に戻り、てきぱきと必要な書類を用意し内容を説明。
かっこいいぜ。

サインを済ませ、カードと小さな贈り物を差し出すと、「もう。今日は泣いてばっかりだわ」とまた目頭をおさえた。

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