片想いという能力、について。
両想いの出発点などとして、片想いが従属的に扱われることがある。
とんでもない。
両想いより片想いの方がロマンチックだと言う人がいる。
そういうことでもないんじゃないかな。
まったく異質で比較にならないことを、英語ではApples and orangesというが、両想いと片想いはそのくらい次元の違うものだと思う。
片想いは個人個人の能力。
両想いは複数のものが惹かれあう状態。
ストロークの巧さとラリーの長さのような、職人技と経営術のような、お互いさまのようで時に矛盾する微妙な関係。
アンチ片想いの人は、相手を振り向かせないと気が済まない。
愛されないと愛せない。
成功すると信じて情熱を注ぐ。
失敗する前に手を引く。好奇心旺盛。
認められたい。世間をあっと言わせたい。
結果を出す。夢見がち。感情豊か。
熱しやすく冷めやすい。
片想いができる人は、たとえ報われなくとも静かに愛し続ける。
両想いは偶然か奇跡だと思っている。
相手の心が離れても動じない。
地位や名誉に興味がない。自己満足。
ガンコ。自由。気が長い。現実的。
無理をしない。ネクラ。意外としつこい。
去る者追わず来る者拒む。
どっちもどっち。
とはいえアンチ片想いは両想いでない状態はもちろん、ひょっとしたら両想い中にもストレスを感じやすい。
片想い力をつけておくと、交互通行になってもならなくてもブレが少ない。
恋愛でも仕事でも家庭でも、メンバーの型が揃わないことは珍しくない。
片想い派とアンチが混在しているような場合は、歩み寄りが重要になる。
ところで良い親とか師匠ってのは、永遠の片想いに耐えられる人のことかもしれない。
身近にブレない大人がいれば、子どもは安心して成長できる。