全力

ネタ切れとか更新とか後悔とか、出し惜しみとか、そういうこと。

たとえば就職活動のような選考の場面だと、一次より二次、二次より三次と、残れば残るほど競争が厳しくなる。
なのでつい“おもしろネタ”や“盛り上がる話題”など、得意なところを後に取っておこうとする。

アナウンス学校のT先生は、それは止めておけと言った。

ひとつには“次”がある保証はないので、全力を出しておいた方が後悔がない、ということ。
お先真っ暗主義の私には、すとんと理解できた。

しかしより重要なのはふたつめの理由。
「今ここで出し切ったぐらいのことで枯れてしまうようなら、結局長くは続かないから」。
なるほどなぁと思った。

言われてみれば若僧のくせに、大人相手に出し惜しみをするなんて生意気だし、「これで決めてやる」なんて本人は自信満々でも所詮シロート判断。
駆け引きするエネルギーがあるなら、他に使った方がいい。
持てる力を遺憾なく発揮したって、落ちる時は落ちるんだから。

この考え方は論文を書いたり発表をすることが多い今の立場でも役に立っている。

常に全力を出し切るクセをつけておくと、その時どきの頂点が記録されるので、後で振り返ったときに変化がわかりやすい。

また、自分のアイディアを無駄にせずに済む。
シロートレベルとはいえせっかく生まれた我が子。
「後で使おうと思っていたけどお蔵入り」では不憫だ。

ものの捉え方・考えの深さ・表現の豊かさ・興味の先は刻々と変化する。
今この瞬間に最高でも時間が経てば風味を損なう。
ほかほかのおいしいうちに消化しといた方がいい。
冷めたパサパサの“元・最高傑作”を抱きしめていては、新しいアイディアの入る余地がない。

一方で、先日H教授が話していた「アイディアをよけておくこと」もわかる。

アイディアは直線上に順番に浮かんでくるわけじゃない。
横にも斜めにも離れたところにも、構わずポコポコ生えてくる。
それらをすべて同時に育てるのは不可能だ。

それにバラバラのアイディアを無理にまとめようとすると、焦点がぼやけて作品の質を低下させてしまう。
なので「今回は使わない」というラインを引く。
しかし漏れたものを即座にボツにはしないで、芽や苗のまま一旦保留にしておく。
別のタイミングで広げてやるだけの価値がありそうだったら、その時に初めて手がければいい。

ブログをマメに書いていて感心されることがあるが、実は更新の水面下には、時間がなかったりふくらまし方がわからなかったりで、書きかけになっているネタがゴロゴロ置きっぱなしになっている。
別のきっかけをもらってつながることもあるが、鮮度が落ちてボツになるものも多い。
できあがった状態で生まれてきて、即座に出荷されるのもある。

というわけでマメというよりは、「更新が追いつかない」という方が当たっている。

「全力」への2件のフィードバック

  1. なるほどなぁ。
    両教授のお話、なんとなく日々感じてはいるけど
    あえて教えられる(emiさんを通して文字として頭に入れる)と
    スッキリと脳に収まった感じがしました。ありがとう。
    さてさて、早速ですがワタクシも新ブログを再度公開しました。
    (以前使っていた場所をリニューアルしました)
    まだ完全には落ち着いてないけど少しずつ整理できてきたので
    お時間ございましたら遊びに来てください。

  2. >あやもん。
    寄ってみました☆
    息子に「ママかわいい」と言われる/書かれるなんて超うらやましいです。

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